2016年04月11日 公開
2023年05月16日 更新
自社商品の情報や人の名前、あるいは必要な資格取得のための勉強など、社会人になってからも「記憶力」が求められることは多い。にもかかわらず、歳を経るごとにどうも記憶力が低下している……そんな実感を持つ人も多いはずだ。
そこで、3年連続で記憶力日本一になった「記憶のプロ」である池田義博氏に、我々も簡単に応用できる「物忘れ防止のコツ」を教わった。
「記憶術」と聞くと、どんな印象をお持ちでしょうか。中には少し胡散臭いイメージをお持ちの方もいるはずです。私自身、ほんの数年前までは似たような印象を持っていました。そんな私が3年連続で記憶力日本一になったのですから、人生とは不思議なものです。
きっかけは本業の塾でした。教室のカリキュラムとして何か取り入れられることのできるものはないか探していたところ、たまたま記憶術に出会ったのです。初めは半信半疑で始めたのですが、調べていくと、それはけっして怪しいものではありませんでした。日本はおろか海外でもかなり昔から存在しているもので、脳の性質を利用した技術であることがわかりました。
そうなると習得するのがだんだん面白くなっていき、塾のカリキュラムそっちのけで自分で記憶の技術を身につけることに夢中になっていきました。そんな時、偶然にも記憶力を競う大会の存在を知り、そのころには記憶術の基礎を習得していた私は自分の力を試すつもりで、約10か月間の練習の末、2013年度の記憶力日本選手権に参加することを決めたのです。
ところで、「記憶力選手権日本一」といっても、何をもって記憶力を競うのかお思いの方も多いでしょう。覚える対象ごとにいくつかの種目があり、その合計点数で優勝が決まります。たとえば「顔と名前」。これは問題用紙に印刷された人の顔と名前を制限時間内でできるだけ覚える競技です。解答用紙には顔の写真のみが印刷されていて、その下に記憶した名前を答えるという形式になっています。
「トランプ記憶」という種目もあります。バラバラにした1組のトランプの順番を5分以内で記憶するという種目です。他にも、ランダムに並んだ数字を制限時間でできるだけ多く記憶する「数字記憶」、無作為に抽出されたたくさんの単語を記憶する「単語記憶」などの種目があります。
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「イメージ」に変えれば、無味乾燥なものも記憶できる >
更新:11月24日 00:05