
リーダーも、時には感情的に部下を見てしまうこともあるかもしれません。でも、できるだけフラットに客観的に部下を見たいと思っていることでしょう。そんなとき有効な視点は「長所を見る」こと。そしてもう一つは...。
※本稿は、五十嵐剛著『任せる勇気』(三笠書房)から一部抜粋・編集したものです。
1920年代にアメリカのウィリアム・M・マーストン博士が提唱した「DISC理論」というものがあります。これは、人の行動傾向を「主導型」「感化型」「安定型」「慎重型」の4タイプに分類するコミュニケーション理論です。
それぞれのタイプは、次のような特徴を持っています。
・主導型(D):結果を重視し、スピーディーな決断を好む
接し方→簡潔かつ論理的に、結論から話すことが効果的
・感化型(I):人とのつながりを大切にし、場の空気を盛り上げる
接し方→熱意を持って共感を示し、アイデアを自由に語らせてあげる
・安定型(S):協調性を重んじ、慎重かつ堅実に物事を進める
接し方→安心感を与え、意見を丁寧に聞きながら、段階的に話を進める
・慎重型(C):事実やデータにもとづき、論理的に分析する
接し方→正確な情報を提供し、具体的な根拠を示しながら説明する
「DISC理論」は今やかなりビジネスに浸透しているので、耳にしたことのある方も多いでしょう。つまり、「人にはそれぞれ行動のクセがある」という前提を持つことは、すでに現代のリーダーの常識なのです。
もし、リーダーがこの前提を無視し、例えば「主導型」のメンバーに周りのサポート役を任せたり、「慎重型」のメンバーに急いで意見を求めたりすれば、仕事の効率は大きく低下し、目標を自分事化させることなどできなくなります。
メンバーそれぞれに「行動傾向」があることを理解し、その人の特性に合った仕事を割り振り、適切なコミュニケーションを取りましょう。
もし、日頃からチームのメンバーを見ては、
「もっと早くできないのか」
「仕事が雑すぎる」
「考えが足りないからミスをするんだ」
とイライラしているのなら、それはあなたがリーダーとして、メンバーへの理解が足りていないサインかもしれません。
人に「欠点」や「短所」があるのは当たり前です。そして、同じように、誰もがそれぞれの「長所」を持っています。
にもかかわらず、あなたの目には「短所」ばかりが見えるとしたら、それはメンバーのせいではありません。
あなたの「視点の偏り」が原因です。
NEC入社3年目のとき、私は中央官庁が関わる大規模プロジェクトのプログラミングを担当することになりました。ところが、プログラムが苦手な私は、凡ミスを繰り返して失敗続き。
とうとうある日、リーダーに名指しで呼び出されてしまいました。よくて説教、場合によっては異動させられるだろう...。そう覚悟を決めていた私に、リーダーは予想外の言葉をかけてくれました。
「あなたには人を巻き込む力、まとめる力がある。プログラムの仕事から外れて、このチームのサブリーダーをやってもらえますか」
このとき、リーダーはきっと「五十嵐にプログラミングは任せられない」と思っていたに違いありません。しかし私の「短所」は一切指摘せず、「長所」を理由にプログラムの仕事から外し、サブリーダーという大役に抜擢してくれたのです。
周りに迷惑をかけてばかりいた私を決して見放さず、私を信じて活かそうとしてくれました。
何とかして、リーダーの信頼に応えたい。いや、必ず応えよう。心からそう思いました。
更新:09月24日 00:05