
大手企業に勤めていた著者は、過去にトップダウン⇔ボトムアップのバランスに悩んでいました。長年のマネジメント経験から実感しているのは、同じ上から指示された仕事でも、その枠内で自分たちが細部を決められるときはメンバーのやる気がまったく変わってくる、ということです。
※本稿は、五十嵐剛著『結果を出すチームのリーダーがやっていること』(すばる舎)から一部抜粋・編集したものです。
あなたのチーム、組織は「トップダウン型」ですか?「ボトムアップ型」ですか?
人は、自分で決めたことなら一生懸命に頑張れます。しかし会社という組織のなかでは、トップが決めたことが順番に現場へと降りてきて、ピラミッド構造の下のほうにいるメンバーは、何をどうすべきか細かく指示を受けるのがふつうです。
ほぼすべての日本企業では、トップダウンをなくすことなどできないでしょう。
では、どうしたらこの関係がもっとよくなるでしょうか?
具体的には、トップダウンで伝えたいことを、ボトムアップで現場のメンバーから提案してもらいます。
メンバーたちから上がってきた提案が、上からの指示の内容と一致していれば、つまり、上からの指示内容の枠内に下からの提案が収まっていれば、それはトップダウンでもあり、ボトムアップでもある両面性を備えた業務になります。
「どういうこと?」と思うかもしれませんね。「そんなに都合よくはいかないでしょ?」と。
しかし、経験的にはほとんどのケースで、ちょっとした工夫をするだけでこの難問を解決できます。
まず、トップダウンで上から降りてきた指示は、そのままメンバーに伝えることは避けてください。伝言役をするだけなら、別にリーダーはいりません。
なぜ会社の上層部がそのような指示をしたのか、その狙いや目的をメンバーに解説しつつ伝えるようにします。上から降りてきた数値目標についても、その意図を推測して解説します。
そのうえで、それらの「狙いや目的」を実現するための具体的な手段・方法をメンバーに検討してもらい、検討結果をまとめて提案してもらいます。
こうすると多くの場合、トップダウンで降りてきた指示の枠内で、より具体的な達成方法の提案が現場から上がってきます。
そうしたらリーダーは、「いい提案だ。よくまとめてくれた、ありがとう。この方向でよろしくお願いします」などと言うだけです。
実際に提案の内容をまとめてきたのはメンバーで、リーダーはそれを追認しているだけですが、これだけでも現場のメンバーは、「これは私たちが決めたことだ」「リーダーが私たちの意見を取り入れてくれた。任せてくれた」と感じるため、期待に応えようとして120%の実力を発揮してくれます。成果にもつながるというわけです。
もちろん、ときどきは下からの提案内容がトップダウンの指示の枠内から外れていたり、その提案内容では上から指示されている数字に満たない、という場合もあります。
そんなときは、まず提案内容のなかのよい部分を見つけ、そこを褒めましょう(YES)。
そのうえで、「これでは上からの指示とずれてしまうから、提案をもっとよくするためにもう少し考えてくれないか(MORE)」と差し戻します。
その際、上からの指示と大きくずれている場合には、リーダーが修正の方向性についてアドバイスして、新しい提案内容について多少誘導するところがあってもいいでしょう。
最終的に上からの指示と大枠で一致するまで、このプロセスを繰り返します。
メンバーからのイマイチな提案でも、上手にブラッシュアップできるこの方法を「YES&MORE」話法と言います。メンバーとの会話では、普段からこの話法を基本スタイルにしたいものです。みなさんも、ぜひ使ってみてください。
更新:09月23日 00:05