
社会人はたとえ納得できていない仕事であっても、上司から言われればちゃんとこなします。でも、これでは実力を100%出し切ることができません。いかに100%の力を発揮してもらうか、それがリーダーの腕の見せ所だと言います。
※本稿は、五十嵐剛著『結果を出すチームのリーダーがやっていること』(すばる舎)から一部抜粋・編集したものです。
自分自身の経験を振り返ってみても明確ですが、人は、自分で「よし、やろう!」と決めたことにしか本気になりません。
「そんなことはないですよ。多少思うところはあったとしても、私のメンバーはどんな指示にも『ハイ』と言って、頑張ってくれています。」
そんなふうにおっしゃる方もいるかもしれませんが、でも、本当にそうでしょうか?
あなた自身、自分が納得できていない仕事であっても、上司から「今期はこの案件の売上が必要だから、何がなんでもやり遂げるぞ!」と言われたら、とりあえずはやりますよね。あなたのチームメンバーも一緒です。
しかしながら、このやり方ではメンバーはその実力を100%出し切りませんし、出し切れません。
リーダーに言われたから、会社の指示だから、あまり気乗りはしない仕事だけれどやる、といった姿勢では、そのメンバーの本来の実力の半分も発揮できればいいほうです。そういう状態のメンバーが多いと、当然ながらチーム全体のパフォーマンスもガタ落ちとなります。
リーダーはそうした事態を防ぎ、メンバー各自に100%の力を発揮してもらうために、彼ら自身が「よし、この仕事をやろう!」と思うように仕向けなければなりません。
彼ら自身が目の前の仕事に対して「自分で決定した」と思えるよう、指示の出し方や、言葉がけに工夫が必要なのです。
大前提として、「人は、自分で決めたことにしか動かない」という理屈を、リーダーが自らの信念として腹に落とし込んでおくことをオススメします。
これができていないと、どんなに言葉を取り繕ってもメンバーにはすぐにわかってしまいます。またメンバーにかける指示や言葉がどこか上から目線で、偉そうに感じられやすい、という危険性があります。
表面的な言葉だけでなく、本心から発する信念のレベルにするために、自分自身を洗脳するつもりで刷り込んでください。
たとえば私の場合、1日5回、以下のタイミングで「人は、自分で決めたことにしか動かない」と何度か声に出すようにしていました。
1.朝起きてすぐ
2.仕事に取りかかる前
3.ランチを取る前
4.仕事を終えたとき
5.夜寝る前
自分だけに聞こえるようにつぶやいてもいいですし、鏡に向かってささやきかけてもいいでしょう。どのような形でもいいので、実際に声に出し、自分の耳でそれを聞くことが重要です。
私はこの習慣を、50歳くらいからずっと続けました。最終的には10年以上続けていましたから、もはやこのセリフは、自らの信念の一部となっています。
これから試してみようという読者のみなさんは、私のように何年も続けなくても大丈夫です。最初の数か月で、十分に大きな効果を実感できるはずです。
「人は、自分で決めたことにしか動かない」という原則が信念までになっていると、それまで自分が、役職にものを言わせて部下に「やらせる」姿勢であったことが理解できるようになります。
同時に、メンバーへの感謝の念が湧いてくるようになるのです。
更新:08月26日 00:05