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「やる気が出たら頑張ろう」はなぜダメなのか 脳と体の意外な関係性

堀田秀吾(言語学者[法言語学、心理言語学]・明治大学教授)

「科学的に証明された~」

やる気は待つものではなく、作るものであり、実は脳は「動いたからやる気が出る」ようにできているという。行動力を高める心理学の知見を紹介してもらった。

※本稿は、堀田秀吾著『ハーバード、スタンフォード、科学的に証明された時間をムダにしない人の習慣』(アスコム)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

「やる気が出たら動く」の間違い

カリフォルニア大学のベンジャミン・リベットらの研究では、「動作を行おう」と思う脳の意識の信号よりも、実際にその動作を行うための信号のほうが平均0.35秒早いことが確認されています。

たとえば、じゃんけんで「パーを出そう」と思うその瞬間、実は意識するより少し前に、手の筋肉はすでに動き始めています。

私たちは「考えてから動く」と感じていますが、実際には「動き始めたあとに考えている」のです。

つまり、体が先、脳が後。この順番は、今や脳科学や心理学の世界では常識とされています。

そして、私たちの脳は、「やる気が出たから動く」のではなく、「始めてしまえばやる気が出る」ようにできています。

脳には、人間にやる気を起こさせる「やる気スイッチ」があります。それは側坐核と呼ばれる部位ですが、ここは体から送られる刺激を受けて作動するため、まず体を動かすことが必要です。

脳科学的に見ると、「やりたくない」と感じているとき、脳では本能的な感情を司る大脳辺縁系が強く働いています。

この大脳辺縁系は、危険や不快を避けようとする防衛的なシステムであり、私たちの行動にブレーキをかけるのです。

一方で、理性的に判断し、「やる」と命令を出すのは前頭葉ですが、この前頭葉が働き出すまでには、約5~6秒かかるといわれています。

つまり、「やりたくない」という感情が脳内に生まれてから、前頭葉がそれを抑え込んで行動を起こすまでには、5秒のタイムラグがあるのです。

 

体を動かせば脳がやる気を起こす

この仕組みを逆手に取ると、行動を始めるコツが見えてきます。

「やる気を出してから動く」のではなく、まずは「5秒だけ動く」のです。

まずは5秒、体を動かしてみることで、前頭葉が活性化し、脳のエンジンである淡蒼球が刺激され、やる気や集中力を生むドーパミンが分泌されます。

やる気も集中力も、気持ちから生まれるものではなく、動き出したあとに生まれるものなのです。

脳研究者である東京大学の池谷裕二教授も、上大岡トメさんとの共著『のうだま やる気の秘密』(幻冬舎)の中で、「やる気が出たからこぶしを上げるのではなく、こぶしを上げたからやる気が出る」と述べています。

やる気が出てから動くのではなく、考えるよりも先に体を動かすことで、脳は「あれ?もう始まっている」と錯覚し、側坐核が自然と働き始め、やる気を起こさせるのです。

プロフィール

堀田秀吾(ほった・しゅうご)

言語学者(法言語学、心理言語学)・明治大学教授

司法分野におけるコミュニケーションに関して、社会言語学、心理言語学、脳科学などの様々な学術分野の知見を融合した多角的な研究を国内外で展開している。著書に『ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科』(SBクリエイティブ)など多数。

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