
大きな成功だけを成果だと思ってないだろうか。実は、
※本稿は、白石慶次 著『「好かれる人」のこれだけ いつも選ばれる人に変わる非認知能力のトリセツ』(すばる舎)の内容を一部抜粋・編集したものです。
「今日、何か達成したことはありますか?」
こう聞かれると、多くの人は「特に何も...」と答えます。大きな成果を出したわけでもない。目標を達成したわけでもない。普通の一日だった、と。
でも、本当にそうでしょうか?
朝、時間どおりに起きた。出勤して、仕事をこなした。メールを返した。会議に出た。資料をつくった。帰宅して、夕食をつくってお風呂に入った。こうして本を読んでいる。
これらは、すべて「達成」です。
「いやいや、そんなの当たり前のことでしょう」と思うかもしれません。
でも、その「当たり前」ができていることを、あなたはちゃんと認めていますか?
自分を認めることができるようになると、不思議と、次に「何かやってみよう」という気持ちが生まれてきます。人は“できたこと”を自覚したときに、次の行動を起こすエネルギーが自然に湧いてくるからです。
けれど、多くの人は日常のなかでそのエネルギーを生み出すチャンスを自分で奪っています。
それは、「この程度ではまだ達成とは言えない」と、自分が成し遂げた小さな成果を無視してしまうからです。
努力が報われないと感じるとき、人は「結果が出ていない」と思いがちです。
でも、実際には「自分の進歩を確認していないだけ」な場合が多いのです。
どんなに小さな前進でも、それを“自分で承認する”こと。それこそが未来に向かう力の源泉になります。
・昨日よりも5分早く、朝起きることができた
・言葉に詰まらずに意見を伝えられた
・苦手な相手にも笑顔で挨拶できた
たったこれだけのことでも、確実に前に進んでいます。そのため、その瞬間を「よし」と言葉にして残すことが、自分の成長を“見える化”する行為になります。
自分の小さな達成を承認すると、不思議なことが起きます。
次に挑戦するエネルギーが湧いてくるのです。
人は、自分の「できた」を認識した瞬間に、脳のなかで小さな報酬(ドーパミン)を受け取ります。それが、「もっとやってみよう」と思う原動力になります。
つまり自分を承認することは、単なる慰めではなく“心理的なエネルギー補給”なのです。
私はこれを「承認のエネルギーサイクル」と呼んでいます。
小さな達成を認める→達成感を味わう→エネルギーが湧く→次の行動ができる→また小さな達成が生まれる→認める→...
この好循環が回り始めると、人は自然と前に進めるようになります。
小さな承認がもたらすのは、満足ではなく「自己効力感」です。自己効力感とは、「自分はできる。自分が動けば変えられる」と感じられる力のことです。
この感覚があると、挑戦へのハードルが下がります。大きな挑戦は、いつも小さな成功体験の積み重ねの上に成り立っているのです。
反対に、完璧を求めて「もっと大きな成果を出さなければ」などと思うほど、挑戦の機会を失ってしまいます。
行動するたびに“合格・不合格”で判断していては、誰でも疲れてしまうからです。
再度、私自身の体験を紹介します。20代の頃の私は、「バカだと思われたくない」という考えから、会議で話題についていけなくなっても、わかったふりをしてその場をやり過ごしていました。
結果、あとから調べる時間が必要になり、仕事が遅れるなんてこともありました。
ですが、自分が知らないことを受け入れ、その場で質問をして解決できるようになってからは、仕事が捗るようになりました。
これは、「その場で質問をする」というとても小さな行動、ある意味で当たり前の行動なのですが、当時の私にとっては大きな前進であったその小さな“達成”を、きちんと自分で認めてあげたことによって成し遂げたものです。
小さな達成を、そのつど自分で認めていく積み重ねが、現在の自分にまでずっとつながっているのを感じています。
具体的には、どうやって小さな達成を承認すればいいのか。3つの方法を紹介しておきます。
いずれも少し難しく感じるかもしれませんが、頑張った自分自身を感じながら行うと、より効果的です。
寝る前に、今日自分が達成できたことを、手帳などに3つ書き出してください。内容は、まったく大きなことでなくてかまいません。それこそ「朝ごはんを食べた」「電車で席を譲った」「笑顔で挨拶した」など、どんな小さなことでもかまいません。書くことで、「自分は、今日も何かを達成した」のだと認識できます。これを続けると、自然と「できたこと」に目が向くようになります。もちろん、紙に書き出すのではなく、デジタルなツールを利用して記録してもかまいません。
何かを終えたら、心のなかで「よくやった」と言ってください。メールを送ったら「よくやった」。会議が終わったら「よくやった」。家事をひとつ片づけたら「よくやった」。最初は違和感があるかもしれませんが、口グセにすることで、自然と自分を認める習慣がつきます。
「こんなのは、当たり前のことだな」と思ったら、一度、立ち止まってください。それは、本当に当たり前のことでしょうか?たとえば、「体調が少し悪かったが出勤した」...これは当たり前のことではありません。「苦手な人とも笑顔で話した」...これも当たり前のことではありません。「疲れていたが、家族のために料理をつくった」...もちろん、これも当たり前のことではありません。あなたが「当たり前だ」と思っていることの多くは、実は「あなたが頑張って、結果として達成したこと」なのです。それを素直に認めるようにしましょう。
更新:08月15日 00:05