
夜になると不安や後悔が頭を離れず眠れない――。
※本稿は、本田健 著『自分に聞いてみよう 人生を選び直す49の質問』(きずな出版)の内容を一部抜粋・編集したものです。
ベッドに入ったのに、目が冴えている夜があります。からだは疲れているのに、頭がずっと動いています。時計を見ると、もう何時間もたっています。明日のことを考えると、早く眠らなければと焦るのに、焦れば焦るほど、眠れなくなる。
そんな夜を過ごしたことはありませんか。夜、眠れなくなる理由は、人によって少しずつ違います。
ただ、ある程度のパターンがあります。
1.明日への不安
明日の予定、明日の会議、明日に持ち越したやり残しがある状態。考えなくてもいいことだとわかっているのに、頭が勝手に動き続けます。
2.過去の後悔
今日の出来事の中で、うまくいかなかった場面が頭の中で何度も再生されます。「あのとき、こう言えばよかった」「あのとき、こうしなければよかった」眠りに落ちる前の静かな時間に、その場面がよみがえってきます。
3.将来への漠然とした不安
仕事は、これからどうなるんだろうか。お金は、いまのままで足りるんだろうか。自分は、ずっと元気でいられるんだろうか。考えても答えが出ないのに、考え続けてしまいます。
4.自分自身への問い
いまの生き方で、本当にいいんだろうか。自分は、何のために生きているんだろうか。ふだんは口に出さない問いが、静かな夜に、ふっと立ち上がってきます。
あなたが眠れない夜、頭の中でぐるぐるまわるのは、どのテーマでしょうか。それは、いまのあなたにとって、いちばん大切なテーマであることが多いのです。
眠れない夜は、ただ困った時間ではありません。心の奥に押し込んでいたものが、「そろそろ見てほしい」と知らせてくれている時間でもあります。その声に、少しだけ耳を傾けてみてください。
不安の正体を、もう一つ別の角度から見てみます。
あなたは、何を失うのが怖いですか。多くの不安の奥には、「失うことへの恐れ」があります。
いまある仕事を失うのが、怖い。いまある収入がなくなるのが、不安。いまある人間関係や大切な人を失うのが、怖い。いまの健康や自分の立場を失いたくない。
あなたの場合は、どれがいちばん強いでしょうか。
失うことの怖さは、いまある何かを、あなたが本当に大切に思っている証でもあります。大切に思っていないものを失うことは、それほど怖くありません。大切に思っているからこそ、失うことが怖いのです。
その意味で、失うことへの恐れがあること自体は、悪いものではありません。
ただ、その恐れに支配されすぎると、生き方が縮こまっていきます。いまの何かを失わないように気をつけていると、新しいことに踏み出せなくなります。いまある関係を壊さないように、本音を言えなくなります。いまの仕事を失わないように、本当はやりたいことを諦めてしまいます。
「失わないこと」が、いつのまにか人生の目的になっていくのです。その状態で生きていると、新しいものは入ってこなくなります。あなたが失うのが怖いものが、もし、ある日、本当に失われたとして、あなたは本当に立ち直れないのでしょうか。
怖がっていることのほとんどは、実際に失われたとしても、自分で対処できるものです。仕事を失っても、別の道を歩き始めることはできます。大切な人を失っても、悲しみを抱えながら、それでも生きていけます。「失ったら終わり」と思っていたものの多くは、実は、失っても終わりではないのです。
その視点が自分の中にあると、失うことへの恐れは、少し小さくなります。失うことを怖がりすぎず、自分が本当に欲しいものに意識を向けましょう。
多くの人は、自分の限界に、なかなか気づきません。あるいは、気づいていても、認めるのが怖くて目をそらしています。
「まだいける」
「みんなもこれくらいやっている」
「ここで弱音を吐くわけにはいかない」
そう自分に言い聞かせながら、進んでいることはありませんか。
限界というのは、突然やってくるものではありません。少しずつ、少しずつ、自分の中に蓄積していった末に、やってくるものです。
最初は、ちょっとした疲れ。次に、なんとなく続くだるさ。やがて、朝起きるのがつらくなる。仕事に向かう前に、胸が苦しくなる。誰かと話すのが、面倒に感じる。ふと、涙が出る。
そうした小さなサインが、あなたの中で、すでに出ているのではありませんか。忙しさの中で見ないふりをしてきた人は、そんなサインを見逃した可能性があります。限界かもしれないと感じていることは、いろいろあります。
・いまの仕事の量
・いまの家庭での自分の役割
・ある人との関係
・ある責任を、一人で背負い続けていること
・いまの生活水準を、保ち続けようとしていること
・自分のからだや心の状態
心当たりがあるものはありますか。ここで、自分に正直になることが大切です。
「もう限界かもしれない」と認めることは、弱さではありません。むしろ、自分の状態をちゃんと把握できているという、強さです。限界に気づかないまま進み続けていると、ある日、急に動けなくなることがあります。からだや心が壊れる日は、突然やってきます。
そうなる前に、自分の中で発している声に、耳を傾けてあげましょう。
「もう、限界かもしれない」その声を、無視しないでください。
すぐに何かを変えなくても構いません。ただ、その声があることを、自分に認めてあげるのです。いったん受けとめられたら、いまのあり方を少しずつ変えていきましょう。自分が限界に近づいていることに気づける人は、自分を、ちゃんと守れる人です。そして、新しい変化を受け入れる準備もできているのです。
更新:09月24日 00:05