
なぜ、頭がよくても評価されない人がいるのか。好かれる人に共通する3つの力を解説してもらった。
※本稿は、白石慶次 著『「好かれる人」のこれだけ いつも選ばれる人に変わる非認知能力のトリセツ』(すばる舎)の内容を一部抜粋・編集したものです。
2000年に、ひとりの経済学者が衝撃的な研究結果を発表しました。シカゴ大学のジェームズ・ヘックマン博士。後にノーベル経済学賞を受賞する彼の研究は、「人生の成功を決める要素は、IQ(知能指数)だけではない」という事実を明らかにしました。
ヘックマン博士は、幼児期に特別な教育を受けた子どもたちを40年間、追跡調査しました。
その結果、驚くべきことがわかったのです。
成人後の年収、持ち家率、逮捕率、生活保護受給率──あらゆる指標で差が出ていましたが、その差はIQの違いだけでは説明できませんでした。では、何が違いを生んだのか?
ヘックマン博士が注目したのは、「非認知能力」と呼ばれる力です。
テストでは測れず、数値化もできない。でも、人生の成功には決定的な影響を与える力。それこそが「非認知能力」であるとヘックマン博士は言います。
より具体的には、博士は「自分を律する力」「他者と協力する力」「粘り強くやり抜く力」「感情をコントロールする力」などを例示しましたが、これらに限らず、「数値化できない人間力」全般のことを指していると考えていいでしょう。
そのうえで、こうした「見えない力」が学歴や知能よりも、その人の年収や社会的地位、さらには人生における幸福度までを大きく左右することを示したのです。
言い換えれば、非認知能力とは「人生の幸福度に格差を生み出す、見えない力」です。
私はこの研究を知ったとき、長年の疑問が解けた気がしました。
・なぜ、頭がよいのに評価されない人がいるのか?
・なぜ、スキルがあるのに出世しない人がいるのか?
・なぜ、真面目なのに周囲から人が離れていく人がいるのか?
過去の自分にも通じるこれらの問いに対する答えは、「見えない力=非認知能力」にあったのです。
あなたの周りにも、「なぜかいつも好かれる人」がいませんか?
特別にイケメンでも美人でもなく、話がめちゃくちゃうまいわけでもない。でも、なぜかみんなから信頼され、チャンスが集まってくる人たち。
そんな人たちを観察していくと、ある共通点が見えてきます。彼らはみな、さまざまな非認知能力のなかでも、次の「3つの見えない力」を上手に使っているのです。
ひとつ目は、「気づく力」です。
自分の状態に、相手の変化に、場の空気のゆらぎに気づける力です。
前節でお伝えしたとおり、気づくことこそがすべての始まりです。気づけなければ、ズレは修正できません。誤解もほどけません。
逆に、気づくことができれば、そこから変化が始まります。
2つ目の力は、「受け入れる力」です。
自分の弱さや、相手の考え、つらい現実もありのままに受け入れる力です。
私たちは、「こうあるべき」という理想に縛られて苦しむことがあります。受け入れる力がある人は、その縛りから自由になれます。だから、柔軟でいられます。
柔軟に対応できるから、人が近づきやすいのです。
そして3つ目の力は、「与える力」です。
自分には優しさを、相手には価値を与え、場に安心感を与えます。
好かれる人は常に「与える側」にいます。奪う人には人が集まりません。
おしみなく与える人にこそ、人は引き寄せられます。
また、この3つの力はそれぞれが個別に存在するものではありません。「気づく」から「受け入れる」ことができ、「受け入れる」から「与える」ことができます。3つの力は連動していると言えるでしょう。
さらに言えば、この3つの力には「順番」があります。
まずは自分に気づき、自分を受け入れ、自分に与えることが必要です。
自分が満たされて初めて、他者に気づき、他者を受け入れ、他者に与えることができるからです。自分が空っぽのまま他者に与えようとしても、長続きしません。だから、自分を満たすことが最優先です。
あなたの周りにいる「好かれる人」を思い浮かべてみてください。
その人は、あなたの小さな変化に気づいてくれる人ではありませんか?
あなたの意見を否定せず、受け入れてくれる人ではありませんか?
そのうえで、答えを押しつけず、一緒に考えてくれる人ではありませんか?
そして、いつも何かを与えてくれる人ではありませんか?
好かれる人は、この「3つの見えない力」を無意識に(ときには意識して)順番どおりに使っているからこそ、周りの人に好かれている、というカラクリがあります。
次の章からは、この3つの力を自然に強化するさまざまな習慣について、ひとつずつ丁寧にお伝えしていきます。
更新:08月12日 00:05