
「なかなか体力が回復しない」原因は、"間違った休み方"にあるかもしれません。整形外科専門医の吉原潔氏は、体力回復の鍵は「睡眠時間」と「入浴方法」にあると指摘します。本記事では、書籍『疲れない、回復できる、速く・長く歩ける 体力低下を食い止める30秒習慣』より、「最高の体力回復習慣」を解説します。
※本稿は、吉原潔著『疲れない、回復できる、速く・長く歩ける 体力低下を食い止める30秒習慣』(アスコム)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
若い頃に比べて、回復力が落ちた。休んでも、なかなか回復できない─。
もしかしたら、その休み方がまちがっているのかもしれません。体力を回復するには、何を置いても「睡眠」しかありません。
もし、食べられなければ点滴で栄養を補うことができます。でも、眠らずに体を休めることができるでしょうか? 私たちは、眠らずには生きられないのです。
眠っている間、私たちの体は"回復モード"になっています。そして、「成長ホルモン」が分泌され、傷ついた筋肉や細胞の修復をします。成長ホルモンの分泌量がピークになるのは、入眠から約90分後の深い眠り(ノンレム睡眠)のとき。このときに、しっかりと成長ホルモンを分泌させることができれば、疲れた体を翌日まで持ち越さずに済むわけです。
では、いったい何時間眠ればよいでしょうか?
多くの研究データからわかっているのは、1日の睡眠時間が7時間前後の人が最も健康状態がよく、死亡率も低
い。
ということです。6時間未満や9時間以上になると、体と脳の働きが低下し始めるとされます。つまり、眠っている間に体力を回復するなら、睡眠時間は7時間を目安にして、それ以上長くても短くてもいけない、ということになります。
さらに、睡眠は腸をしっかり休ませる時間でもあります。体力を回復しようと、食事内容に気をつけているかもしれません。しかし、消化、吸収にはエネルギーを使います。ですから、食べることと同じくらい、腸を休めることも大切なのです。
体力の回復を早める休み方の、もっとも重要なポイントをまとめましょう。
①7時間前後の睡眠時間
②入眠後の90分をいかに深く眠るか
7時間の睡眠は、工夫次第でなんとかできそうでしょうか? ちなみに、休みの日は、ついいつもより長く眠りがち。
もし、休みの日は普段よりも起床時間が1~2時間遅いという方は、普段の睡眠が不足していると考えられます。毎日同じ時間に起きて同じ時間に寝ると、体内時計(サーカディアンリズム)が整い、体にとってはもっとも負担が少なく健康的です。
休みの日は、長く眠りたいものです。しかし、データが示しているのは、9時間眠るよりも、7時間眠ったほうが結果的により回復できる、ということなのです。
では、眠ってから90分間、深く眠れているか、ということですが、自分では確かめられませんね。でも、朝起きたとき、疲れが取れていないな、なんとなくだるいな、と感じているのであれば、深く眠れていない可能性が高いです。
では、どうしたら入眠から90分後にぐっすり眠れるのでしょうか?
実は、とても簡単で、それでいながら効果てきめんな方法があります。
それは、「入浴」。寝る前にお風呂に入ることです。
人間は、深部体温が下がったときに眠気を感じるという性質があります。深部体温とは、体の中心部、内臓や脳の温度のこと。
深部体温を下げるのに役立つのが、入浴なのです。湯船に浸かると、深部体温は0.5~1℃上がります。そして体が温まって湯から上がると、放熱しながら体温が下がっていきます。この「上がって→下がる」の落差が自然な眠気を引き出し、深い睡眠へスムーズに誘います。
それから、お湯の温度と入浴時間にも良質な睡眠の秘訣があります。
●湯の温度は40℃
湯の温度は、40℃程度が最適です。熱すぎると交感神経が刺激されて目が冴えてしまいますし、逆にぬるすぎると深部体温が十分に上がりません。40℃前後だと、心地よい温かさで深部体温が適度に上がります。
●入浴時間は10分
湯に浸かる時間は、10分程度がおすすめです。深部体温が上がるのに、10分程度かかるからです。入浴時間が短すぎると深部温度が十分に上がりませんし、逆に長すぎるとのぼせてしまったり、脱水状態になってしまったりします。
さらに、入浴するタイミングにも気を遣えば完璧です! 湯船に浸かるベストタイミングは、布団に入る90分前。入浴で上がった深部体温は、約90分かけてゆるやかに下がっていきます。それにより、自然な眠気を感じた状態で眠ることができます。
普段行っている入浴が、このようにちょっとした工夫で最高の体力回復習慣になるので、ぜひ実践してみてください。
更新:07月22日 00:05