THE21 » キャリア » 経営戦略は“かぜ薬”? 星野リゾート代表がどんな時もぶれない理由

経営戦略は“かぜ薬”? 星野リゾート代表がどんな時もぶれない理由

星野佳路(星野リゾート代表)

ガイアの夜明け 星野氏

リゾート運営会社「星野リゾート」の代表である星野佳路氏。温泉街の復興という新たなチャレンジに挑む今、何を語るのか。

※本稿は、7月25日放送「ガイアの夜明け×テレ東BIZ 連動特別番組ガイアの夜明け Beyond The Story」(テレビ東京)より内容を一部抜粋・編集したものです。

 

実業家・星野佳路の知られざる内面

ーー星野さんご自身の性格を一言で表すと、どういう性格だと思いますか?

【星野】どうでしょう。自分の性格はよくわからないですね。

ただ、どちらかといえば僕はあまりリスクはとらない方だと思いますね。心配性ですし、最悪なケースを想定して経営しています。

ーー人と違う経営をされているというか、むしろリスクを取っているようにもお見受けしますが?

【星野】反対で、人と違う方が安全を感じるんですよね。

ホテルを運営する際も、他と違う際立つ魅力がないと生き残れないんですよね。

ホテルを1回建てると減価償却まで15~20年かかりますから、それまで集客し続けるだけの魅力が必要なんです。

ーー人と違うことをしていると、天邪鬼にも見られてしまいそうですね。

【星野】学校の先生からはよく、天邪鬼だと言われていました。自分自身、そういった一面はあると思います。

常識といいますか、「これが一般的だよね」ということに対して「そんなことないでしょ」という気持ちが自分の中にあるんです。そして、その気持ちが間違っていないと論理的に説明できるように考えると。

ーー反骨心のようなものでしょうか?

【星野】反骨心というと、「失敗してしまったけどもう一回頑張ろう」みたいな前向きな響きがありますが、私の場合は少し違う気がしていて...。何の意味もない、ただの反抗心のほうが近いですかね。

ーー負けず嫌いとはまた違うんですか?

【星野】ちょっと違いますね。無意識のうちに「これは実は間違っているんじゃないか」と考える、タブーとされていることに対して何がダメなのかと考える。理屈に合わない天邪鬼さだと思います。我ながらよくない部分だと思いますが。

 

ビジネス理論との向き合い方

ーー競争は好きですか?

【星野】競争は好きですよ。好きって言うか競争せざるを得ないと思ってますから。

ーーそれは仕事に関するお話ですか?それとも人生全般?

【星野】仕事です。企業としてはやはり競争にさらされていますからね、私たちは。そこからはやっぱり逃げられないですね。

競争はあるという前提で、その競争原理に従って行動しなきゃいけないというのが経営者の役割だと考えています。

ーー競争に勝つためには、何が必要でしょうか?

【星野】戦略が必要ですよね。そして、確度が高い戦略を作っていくには、世界で証明されている理論を活用する方が可能性は高まると僕は思ってます。

理論通りにやれば必ず成功するということはありませんが、理論を無視する方がリスクは高まると思っているわけですね。

ですから、理論から外れるってことはリスクが高いんだよってことを理解しておくということはすごく大事だと思ってますね。

ーーこれまで星野リゾートをやってこられて何か最大の失敗はありますか?

【星野】最大の失敗、あまりそこも感じていないんですよね。

最初の10年の、軽井沢時代が一番時間がかかったところですね。

だからあそこをもう少しスピーディーに進められていたら、今の姿も少しは変わってたかもしれないとは思います。

ただあそこに時間をかけたことによる良かった面もいっぱいあるわけですよ。ですから、昔に戻ってタラレバの話をしても仕方ないと思ってますね。

ーー星野さんは以前、教科書通りにやってうまくいくのは、うまくいくまで継続するからだとおっしゃっていました。理論の部分だけでなく、根性というか、やり遂げる力も星野さんはお持ちなんじゃないかなと思います。

【星野】理論通りにやり続ける力というのは、実は根性じゃないんですよね。薬と同じなんですよ。

病気の時に薬を飲む。最初は効かなくても飲み続ける。なぜ飲み続けることができるかといえば、効くと証明されているからですよね。

ビジネスの理論も同じです。理論に基づいた正しい戦略でも最初は効果が出ないですから。効果が出るのに3年4年5年とかかるわけですね。   

この時、その理論の正しさが証明されていなかったら、戦略が間違っていたかもしれないと思って方針を変えたがるわけですよね。

結果が出ない中で1つの方針を続けられるのは、別に根性で続けているんじゃなくて、正しさが証明されているからなんです。

ーー仮に効果が証明されていたとしても、自分にあまり効かなかったりすると、自信を失っちゃう人が結構多いんじゃないかなと思います。星野さんはご自身を信じ続ける力が強いのではないでしょうか?

【星野】私は自分自身ではなく、理論を信じています。

「理論通りにやっているのに成果が出ない」という風に疑うのではなくて、自分が理論通りにできていないんじゃないかと疑います。自分の方が理論の方にアジャストできていないんじゃないかと。

理論に基づいて自分のビジネスに合うようにアジャストし続ける、これがすごく大事になるんだなと思います。

ガイアの夜明け

プロフィール

ガイアの夜明け Beyond The Story

ガイアの夜明けとテレ東BIZの、連動特別番組。星野佳路氏に温泉街を歩きながら170の質問をした様子は7月25日(土)午前11時30分~12時00分、テレビ東京で放送される。放送未公開部分を含む「Beyond The Story」オリジナル版や、「ガイアの夜明け」の過去放送回まで動画配信サービス「テレ東 BIZ」なら見放題。(https://txbiz.tv-tokyo.co.jp/gaia)

星野佳路(ほしの・よしはる)

星野リゾート代表

1960年、長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業、米国コーネル大学ホテル経営大学院修士課程修了。日本航空開発(現・JALホテルズ)に入社。シカゴにて2年間、新ホテルの開発業務に携わる。89年に帰国後、家業である㈱星野温泉に副社長として入社するも、6カ月で退職。シティバンクに転職し、リゾート企業の債権回収業務に携わったのち、91年、ふたたび㈱星野温泉(現・星野リゾート)へ入社、代表取締役社長に就任。

THE21の詳細情報

関連記事

編集部のおすすめ

前澤友作「お金とはありがとう」50歳で改めて語った仕事と人生

前澤友作(経営者)

「弁当がない日も多かった」日高屋創業者の原点にあった極貧生活

神田正(ハイデイ日高会長)、中村芳平(外食ジャーナリスト)

壇上から見た母の姿に号泣...日高屋創業者が忘れられない経営発表会

神田正(ハイデイ日高会長)、中村芳平(外食ジャーナリスト)

「32歳のホリエモン」が本気で泣いた日...重鎮・亀井静香に挑んだ伝説の衆院選、その知られざる真相

藤田晋(サイバーエージェント会長)、堀江貴文(実業家)