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ニューコークはなぜ失敗した? 部下が去っていく上司との意外な共通点

上林周平([株]NEWONE 代表取締役)

「部下の心を~」

何度も面談しているのに、本音が見えない。突然の退職に驚かされる。そんな部下を動かすカギは、表面的な会話では見えない「インサイト」の理解にあるという。マネジメント関連の著書を多く持つ上林周平氏に語ってもらった。

※本稿は、上林周平著『部下の心を動かすリーダーがやっていること』(アスコム)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

コカ・コーラの歴史的大失敗

ここで、少し話がそれますが、「部下のインサイト」についてお話をさせてください。

突然ですが、あなたはコカ・コーラを飲んだことはありますか?好きな人もそうでない人もいると思いますが、子どものころに飲んだ「コーラの味」をパッと思い出せる人は少なくないはずです。

1980年代に、コカ・コーラ社がペプシの猛追に危機を感じて、「ニューコーク」を開発・発売したことがありました。ペプシに勝つために「ペプシよりおいしいコーク」を目指して、大規模な試飲テストを実施したそうです。完成したのは「オールドコーク」よりも甘くまろやかな「ニューコーク」。

大勝負をかけて市場のオールドコークをニューコークにごそっと入れ替えたのですが、結果は目を覆いたくなるくらいの大惨敗でした。コークファンから大ブーイングが巻き起こり、結局、数か月後には以前と同じ「コカ・コーラ・クラシック」に再度置き換えたことで、最終的にファンは大喜び、期せずしてブランドの再構築に成功した、という話です。

コカ・コーラ社は「顧客はよりおいしいコーラを求めている」と思い込み、データを信じて甘くまろやかなニューコークを開発しました。ところがマーケットが求めていたのは味の革新などではなく、慣れ親しんだ「コーラらしさ」だったわけです。

 

1on1で「部下の深層価値観=インサイト」を読み解く

このストーリーから学べるのは、顧客の深層心理、つまり顧客インサイトの理解がいかに重要であるか、です。

なぜこんな話をしたかというと、同じくらい「従業員インサイト」の理解が重要だと私は思うからです。

あなたは、チームのメンバーをどれだけ「理解」していますか?性格や印象ではなく、「どんな考え方をする人なのか」「どんなときに力を発揮するのか」「何に不安を感じるのか」。

それらを、どれくらい具体的に言葉にできますか?

メンバーの考え方や価値観について聞かれてみると、意外とよくわからないというリーダーも少なくないはずです。実際に「部下が何を考えているのかわからない」という悩みを聞くことが多くあります。

私自身も、かつては部下のことなど理解せず、逆に「俺を理解してくれ」「もっと会社のことを考えてくれ」と訴えてばかりでした。

それもそのはずで、「自分はこういう人間なんです」と説明してくれる人は、あまりいないですよね。面談などで自己分析を促すこともありますが、本音で話してくれているかわからないし、そもそも自分のことを言語化して正確に説明するのは難しいものです。そうこうしているうちに「辞めます」と言い出されたりする。

「なんで?あんなに話を聞いたのに」とやりきれない気持ちになりますよね。でも、こうした悩みが尽きないのは、部下が悪いのではなく、インサイトに辿りつくほど深い対話ができていないからなのです。繰り返しますが、部下のほうから「私はこういう価値観の人間です」と説明してくれることは滅多にありません。

だからこそ、リーダーが「理解する努力」をしなければ、関係は自然には深まりません。一見面倒に感じるかもしれませんが、このインサイトへの理解こそが、部下の行動を変えるための最短ルートです。

そして、この深い理解に最も適した場が1on1の対話なのです。

プロフィール

上林周平(かみばやし・しゅうへい)

㈱NEWONE 代表取締役

大阪大学人間科学部卒業。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)入社。BPRや民営化に関するコンサルティングに従事。2002年株式会社シェイク入社。人材育成事業の立ち上げを行い、商品開発責任者として従事。2015年代表取締役副社長に就任。2017年9月エンゲージメント向上支援を目的に、株式会社NEWONEを設立。著書に、『部下の心を動かすリーダーがやっていること』(アスコム)などがある。

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