2026年04月14日 公開

木暮太一氏は、言語化を「明確化」と定義する。では、言葉を明確に使えるようになるためには、どのようなトレーニングが必要なのだろうか?木暮氏の著書『仕事ができる人の頭のなか』(ダイヤモンド社)より解説する。
※本稿は、木暮太一著『仕事ができる人の頭のなか』(ダイヤモンド社)より内容を一部抜粋・編集したものです。
仕事ができる人は、不明確な言葉をそのまま放置しておきません。自分で調べたり、相手に確認したりして、自分の中で明確にしています。
「早めに来て」と言われたら、「早めとは、8時半くらいでしょうか?」と確認をします。「心理的安全性を高める施策を考えて」と指示されたら、「自分の中で『心理的安全性』の理解があいまいなので、確認させてください」と相手に質問をします。
質問しづらいときもあるかもしれませんが、その場で確認したほうが相手の負荷は小さくて済みます。「なんとなく」で進めてしまうと、あとで軌道修正に時間がかかり、より相手に負担をかけてしまいます。
確認すべきなのは相手からの指示だけではありません。たとえば、みんなで雑談をしているときに、「最近、子どもが減ってきている」という話題が出たとしましょう。少子高齢化と言われてから久しいので、みんな「子どもが減ってきている」という共通認識は持っています。でも、どのくらい減っているか、去年は何万人生まれたのかはあやふやかもしれません。
そのとき、仕事ができる人は「減ってきた」を明確にするためにスマホで検索をします。とにかくすぐ調べます。
去年生まれた赤ちゃんの数を調べることが大事なのではなく、あいまいな認識をそのままにせず、自分の中で明確になるまで調べるクセがついていることが重要なんです。
「SNSで○○がバズっている」と聞いたら、それがどのくらいを指すのかすぐに調べます。Googleトレンドでキーワードの検索回数の増え方を調べたり、SNSでその関連キーワードを検索して何がヒットするかを見たりします。
「みんなこう考えている」「みんなこれをやっている」「最近はこうだから」など、一見もっともらしい総論を聞いたときには、そのまま受け入れずに、「流行ってる」「みんなやってる」などがどういう意味なのかを確認します。そうすることで、ものごとをより明確に理解しようとしています。
言葉を明確に捉えるために習慣づけていただきたいのが、「文章でメモすること」です。ぼくは仕事柄、多くのビジネスパーソンとお会いします。
そしてみなさんに質問を投げかけています。ここで仕事ができる人と、そうでない人は明確に答え方が違うことを強く実感しています。
「仕事ができる人は、本質を突いた回答をする、斬新なアイディアを持っているに違いない」と感じるかもしれません。でも、そういうことではありません。仕事ができる人とそうではない人は、答えの内容ではなく、答え方が違うんです。
仕事ができる人は、文章で答えます。一方で、そうでない人は単語で答えます。
たとえば、「経営に重要なものは?」と質問した場合、「人材!」など単語で答える人も多いです。この回答をする人はなかなか仕事ができる人に成長していきません。というのは、「単語で答える≒単語で考えている≒何をどうすればいいかを考えていない」から、です。
「人材」がなんなのでしょうか?人材を育てることなのか、人材を辞めさせないことなのか、そもそもいい人材を採用することなのか、単語で考えている人は自分の中で明確にしていません。でも、単語だけならあいまいなままでも回答できてしまいます。本人も「なんとなく」で考え、それ以上つきつめて考えてはいません。
単語で答えるクセがついてしまっている人は、そもそも単語で考えるクセがついてしまっています。そしてさらにその前に単語でメモるクセがついています。会議で何か重要なことを聞いたとき、単語でメモをします。セミナーや研修で勉強するときも、重要なキーワードを書くだけで終わっているケースが多いです。
キーワードを書くことがいけないのではなく、キーワードしか書かないことが問題なんです。単語だけをメモし、それが大事だと思えたとしても、それをどうすればいいのか、何につなげればいいのかがわからなくなっています。これでは意味がありません。
ぼくは、自分の仕事をほぼGoogleカレンダーで管理しています。打合せや講演の予定を入れるのはもちろんですが、その時間に作業することもそこに書いています。ただ、このときに自分がやることを必ず文章で残します。
たとえば、「○月○日10時 A社のデータ」ではなく、「○月○日10時 A社のデータを確認して、プレゼン資料に反映させる」と文章で書き入れます。こうすることで自分が何を考え、何をしなければいけないかが明確になるんです。
あいまいな言葉が「あいまい」なのは、いろんな意味合いや解釈を含んでしまっているからです。なので、その言葉を明確にするためには、分解しなければいけません。たとえば、「商品のブランディングをしたいんです。何を勉強すればいいですか?」と聞かれたとします。あなただったら、この質問にどう答えますか?
自分が過去に読んだ本を紹介するかもしれないし、YouTubeなどの動画を勧めるかもしれません。もしくは、タスクをこなしながら現場で覚えていくことを推奨するかもしれませんね。どれも正解と思いたいですが、じつはどれも「不正解」の回答です。
というのは、「ブランディング」という言葉がいろんな要素を包括した概念だからです。
つまり、相手が何を目的にし、何を学びたいのか、そもそも「ブランディング」をどういう意味で使っているのか、いろんな可能性があります。そしてあなたはまだそれを特定していません。それがわからないのに「これをやったほうがいいよ」と勧めてしまうと、方向性を間違える可能性があります。
相手は高くても買ってもらえるようになることをイメージして「ブランディング」と言っているかもしれません。でもあなたは「口コミを発生させる方法」が書いてある本を勧めてしまうかもしれません。もしくは、ブランディング総論のような基礎から応用まですべて学べるものを紹介しちゃうかもしれませんね。
わからない言葉はだいたい「幅が広い言葉」です。いろんな要素を含んでいて、いろんな側面があります。そのときはまず分解し、小分けして「どの部分を指しているのか」を考えることが必要です。
仕事ができる人は、言葉を分解して考えています。言葉を明確に定義すると同時に、その中のどれを話題にしているのか、どれを指しているのかを分解して考えているのです。
更新:04月16日 00:05