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ストレスを感じたら予定変更するデンマーク人 「空白」だらけのカレンダーがもたらす安心

針貝有佳(デンマーク文化研究家)

ストレスを感じた時は「余白」を作ることが必要

効率性6年連続トップの「ビジネス先進国」デンマークは、幸福度ランキングでも常にトップ3に入る「幸せな国」でもある。彼らは平日午後4時に帰宅し、夏休みは3週間以上取得するという。彼らはオフの時間をどのように過ごしているのか。なぜ日本人のようにストレスを溜めこまないのか。デンマークで暮らし、その文化を研究する針貝有佳氏が、デンマーク人のストレス対処法を解説する。

※本稿は、針貝有佳著『デンマーク人の休む哲学 幸福度も生産性も「いいとこどり」する習慣』(大和書房)より一部抜粋・編集したものです。

 

デンマーク人も決してストレスフリーではない

忙しいときのストレス対処法には、どんな方法があるでしょうか。
ちょっとしたストレスも、放置していると大きく膨らんでいってしまいます。

好きなことがあれば、その時間を持ちましょう。趣味とまではいかなくても、日常的にちょっとしたことで気晴らしができるだけで、気分が前向きになって難題にも立ち向かえるようになります。

「仕事で頭がいっぱいになったときには、とりあえず、散歩に出かけた方がいい。
そうすると、抱えている問題は変わらなくても、その問題が『軽くなった』ように感じられる。あとは海水浴。私は昔から水に浸かるのが好きで、何かあると泳ぎに行く」(マリア)

「ストレスを感じてるなと思ったら、とにかく庭に出て庭仕事をするんだ。雑草抜きとか、生垣の刈り込み作業は、すごくいいストレス発散になるんだよ(笑)」(クラウス)

デンマーク人も決してストレスフリーではありません。ただ、疲れやストレスを感じたときの自分なりのリフレッシュ方法を知っているのです。

翻訳家メッテホルムは、ジョギングや長距離の散歩をしないと、仕事ができないと言います。彼女は現在67歳ですが、彼女のSNSを見ていると、本当によくジョギングやハイキングをしていて驚きます。

要はなんでもいいので、自分なりのストレス対処方法を知り、日常的に取り入れることです。スマホやお酒なども一時的な気分転換にはなるかもしれませんが、後で脳や身体に疲れが出ます。
できれば、健康にも良く、終わった後に爽快感を感じられたり、ポジティブな気持ちになれる活動を日常的に取り入れましょう。

 

自分で自分の時間の使い方を決められる自由

余白をつくることも大切です。
出版社の経営者シモンは、自分が好きなことを仕事にしています。
けれど、それがどんなに好きな仕事であっても、仕事で埋まったカレンダーは見たくないと言います。

「2ヶ月先の予定まで埋まってるカレンダーを見ると嫌になる。やることが全部決まってるのが嫌なんだ。だから、予定はできるだけ入れない。
僕にとっては、そのときの気分で好きなように使える時間があるということが、ものすごく大事なことなんだ」

シモンはフリータイムには子どもたちと一緒に過ごしたり、友人とスポーツを楽しんだり、アート鑑賞に行ったり、DIYをしたり、色んな活動をしています。
けれど、ただボーッと宙を眺めているだけでもいい、そんな時間を持てることこそが貴重なのだと言います。
自分で自分の時間の使い方を決められる「自由」が持てること、それこそがシモンにとって大切なことなのです。

そんなシモンは、夏の休暇中も予定を詰め込まず、隣国スウェーデンのサマーハウスでゆっくりと過ごします。
特に予定を立てず、子どもたちや子どもたちのパートナーと一緒に過ごし、その日の気分で自由気ままに暮らします。

シモンにとっては、家族と一緒に暮らす気楽で自由な時間こそが貴重で尊いひとときなのです。

一度だけシモンの自宅を訪問したことがあるのですが、本当に素敵な家でした。「好き」に溢れた空間に身を置くと、それだけで心が癒されます。

大量の本が並ぶ本棚、子どもたちのアート作品、カフェにあるような大きなコーヒーマシンに色とりどりの可愛いデザインのカップたち。シモンの自宅はまさに、「好き」と「愛」に溢れる癒しの空間でした。
愛する人と好きなものに囲まれ、気が向くままに暮らす。
そんなシモンの暮らしを垣間見て、ヒュッゲなひとときに感動した美しい夏の思い出です。

 

ストレスを感じたら即予定変更

デンマーク人は「余白」をうまくデザインする国民です。
建築家として常に第一線で活躍してきたエヴァは、プライベートでも様々な活動を存分に楽しんでいます。
けれど、そんな彼女も、ストレスを感じたときには、余白をつくります。

「私はいつも朝目が覚めたときに、今の自分の状態がわかる。起きた瞬間から頭がフル回転してるときは、ストレスを感じてる証拠。
そういうときはまずカレンダーを見て、予定の変更とキャンセルをする」

頭がいっぱいになっていたら、忙しすぎるという証拠。そういうときには、当面の予定を変更あるいはキャンセルにして、とにかく「余白」をつくるのがベストです。

私はデンマークに暮らして約15年が経過しましたが、日本に暮らしていたときと、デンマークに引っ越してからは「余白」についての考え方が180度変わりました。

以前の私は、予定がなくて真っ白な手帳を見ると不安になり、「何かしなければ」と、スケジュール帳を埋めていました。
そして、予定をこなすことで、今日は◯◯ができた、と満足感を得ていました。特に何もしないで終わった日は「今日は何もしなかったなぁ」と罪悪感を覚えていました。

けれど、デンマークに暮らすようになってからは、逆に、数ヶ月以上先の予定を入れることや、立て続けに予定が入ってスケジュールが埋まってしまうことに苦痛を感じるようになりました。

今では、空白だらけのカレンダーを見るとホッとします。
その方が、そのときの状況に合わせて最適な選択ができますし、自分の気が向くままに時間を使えるからです。
「余白」ができると、心のゆとりを持って、落ち着いて物事に取り組めるようになります。
あれもこれもしなければいけないというプレッシャーから解放されて、目の前の一つひとつのことに集中して取り組みやすくなります。

余白を使って趣味など好きなことをすれば、元気も出ます。
「余白」の効果は絶大なのです。

プロフィール

針貝有佳(はりかい・ゆか)

デンマーク文化研究家

デンマーク在住。1982年生まれ。2009年末にデンマーク移住後、15年以上にわたってテレビ・ラジオ・新聞・雑誌・ウェブなどからデンマークの現地情報を発信。「サタデーステーション」「ビートたけしのTVタックル」「ミヤネ屋」などに取材協力・出演。著書に、6万部のベストセラー『デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか』(PHPビジネス新書)など。

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