キャリアコンサルタントが持つべきスキルの中で、とりわけ重視されるのが「傾聴力」です。この点、ミドル世代はしばしば苦労しがちです。
普段、管理職として指示や説明をしたり、問題解決をしたりする仕事をしているので、「話す」スキルは高い半面、「聴く」ことは不得手な方が多いのです。
しかし、その壁を乗り越えられたら、問題解決力と傾聴力とを併せ持つ「両利き」になれます。その結果、仕事にも大いに役立ちます。
周囲の人々のニーズを引き出し、そこに合わせた的確な解決策を提供できる、理想的なマネジャーになれるでしょう。「この講座を受けてから職場の雰囲気が変わった」という声も多く届いています。
職場どころか「人生が変わった」とおっしゃる、50歳管理職の方も。その方は最初、自分の部下より若い人も大勢いるクラスで一緒に学ぶことに抵抗があったそうです。
しかし学びを深めるうち、モノの見方が変化。年齢やポジションに関係なく対等に語り合い、自己開示できる場で「解放された」と振り返ります。さらには「夫婦関係が円満になる」という思わぬ効果も。「人の話を聞かなかったあなたが、まるで別人!」と奥様に驚かれたとのこと。
ビジネスパーソンとしてだけでなく、トータルな人間的成長までも得られる、理想的な学びを経験されたと言えるでしょう。
キャリアコンサルタント試験はマークシート式・論述式の筆記試験と実技試験で構成され、双方に合格することで資格が取得できます。
働きながら取得を目指すには、やはり一定の努力は必要となりますが、その支えになるのが、共に学ぶ仲間です。講座では毎回、同じクラスになった方々の間には強い連帯感が生まれます。
授業時間外にもロールプレイの練習をしたり、グループLINEで問題を出し合ったりと、互いに助け合いながら合格されていきます。資格取得後は、選択肢が増えます。社内で存在感を高めていく方あり、転職や独立をする方あり。
また、キャリアコンサルタントの働き場所は多様です。大学の就職課、ハローワーク、人材紹介会社などには欠かせない存在ですし、一般の会社組織の中で、キャリア構築に悩む方を支えることもできます。
さらに組織の「外」にいる、働きたいのに働けない方を支援する道も。私の生徒さんには、75歳で受講して、「シニア」に特化したキャリアコンサルタントになられた方もいます。
支援すべき人がいる、すべての場が活躍場所です。この意義ある仕事に、ぜひ多くの方に参加していただきたいと願っています。
【山内雅惠(やまうち・まさえ)】
(株)日本マンパワー キャリアコンサルタント養成講座インストラクター
大学卒業後、出版社勤務、教育関連会社勤務を経て、2004年に人材開発会社に入社。キャリアカウンセラー(16年4月より国家資格キャリアコンサルタント)・研修講師として個人や企業の支援に従事。11年、「モアユアセルフmore yourself」名で独立。キャリアコンサルタントの育成に携わる他、東海大学非常勤講師も務める。
※(『THE21』2022年7月号特集「40代・50代で必ずやっておくべき『学び直し』」より)
更新:11月23日 00:05