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御社の顧客リストが「単なる名簿」になってしまっている理由

2021年03月03日 公開
2023年02月21日 更新

小阪裕司(オラクルひと・しくみ研究所代表)

顧客リスト

生殺与奪の権─リストはあくまで自社で持て

顧客リストを温めるには、顧客とつながることだ。つながるためのツールは正直、なんでもいい。最近は私の周りでLINEのお友達登録を活用する事例が増えているが、だが、これを見て「じゃあ自分もLINEで」と短絡的に思わないほうがいい。

顧客の性質によってはメールのほうがいいこともあれば、手書きのDMのほうが効果を発揮することもあるからだ。もちろん、LINEなどの最新ツールが効くケースもあるだろう。自分が提供するサービスとの相性や、主な顧客のタイプから決めればいい。

ここで一つだけ付け加えておきたいのは、顧客リストは内部で持っておくべきだということだ。ユーチューブやツイッターの「フォロワー」は、確かにつながっている顧客ではある。

しかし、たとえばツイッターのフォロワーが100万人いるとしても、ある日突然ツイッターから利用停止を勧告されたら、100万人のフォロワーへのアプローチ手段はなくなる。100万人とのつながりが一気に消滅するのだ。

「そんなことが起こるわけがない」と考えるかもしれないが、ある日突然、仕様変更や規約の変更を行うことがないとは言い切れない。

いきなり消されることはなくても、変更されたやり方に従わなければ削除される、あるいはフォロワー管理費としてコスト負担を求められる、といった時代が来ないとも言い切れないだろう。プラットフォームへの依存度が高ければ高いほど、こうした要求を飲まざるを得なくなる。

コスト面はもちろん、個人情報漏洩の問題などもあり、外部にリストを持っているほうが安全だと考える向きもある。だが、ある程度の規模になったらやはり、自社でリストを管理するシステムを持つべきだし、そのためのコスト負担はケチらないことが重要だ。

近江商人の教訓に、「火事になったら顧客台帳を持って逃げろ」という言葉があるらしい。それほど重要な顧客リストはやはり、自分で保持したうえで厳重に管理すべきだろう。

 

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