――50代になったら手放すべきは「いいところを見せたい」という見栄や「こうあるべき」という理想像。その代わりに、等身大の自分を受け入れることだという。
「そのためには、まず自分を知ることです。50にもなれば、自分のことは自分が一番わかってると思うでしょう? でもほとんどの人は、驚くほど自分を知りません。私が48歳のときに会社で受けたリフレッシュ研修で『性格診断テスト』がありました。
100の質問に答えて性格診断が下されるのですが、その診断票を5人のグループでシャッフルして、自分の診断票を当てるゲームをしたのです。正解したのは20人中わずか10人。参加者の奥さんの診断票で行なったところ、正解はさらに減って4人。両方当てることができたのは、たったの2人でした。
性格診断テストをしなくても、家族や同僚、友人に聞いてみれば、自分の性格がわかります。きっと意外な答えが返ってくるのではないでしょうか」
――「怒りっぽい」「暗い」などと手厳しい答えが返ってきたとしても「自分の性格だから、今さら無理に変える必要はない」と断言する。
「野村克也監督なんてボヤくわ、辛口だわで、明るさや愛想なんてほとんどなかったですよね(笑)。でも、選手たちへの深い愛情に溢れていて、みんなに愛された。いくら取り繕っても、その人の本質は周りの人に伝わっているのです。50代になったら、自分を無理に変えようとせず、あるがままを受け止めて、良しとする。
自然体で生きるべきです。むしろ志を磨くことに専念する。仕事に真剣に取り組もう、部下をしっかり育てようという志さえあれば叱っても、ボヤいても、周囲にはちゃんと思いは伝わる。それができるだけの人間的な厚みがあるのが50代なのです」
更新:12月04日 00:05