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ムダな会議を一掃!すべての会議は「KJ法」と「共感力」で円滑に進む

2020年03月27日 公開
2023年02月21日 更新

園部浩司

「話したがる人」には別日にアフターケアを

最終局面では前述の通り、合意形成に苦心しがちです。メンバーの抱く理想像や解決法が対立しても、時間内はできる限り、合意点を探りましょう。

そのコツは、基準を抽出することです。すなわち、その策を良しとする理由を聞き出すのです。例えば、社員旅行の行先の案が「ハワイ」「イタリア」「箱根」とまるで違っているとします。

一方、理由を聞けば「自然に触れたい」「美しいものを見たい」「癒されたい」といった答えが出てきて、いずれも「疲れをリセットしたい」という動機が垣間見えます。ならば、これを満たすことのできるさらに別のアイデアを出してもらうことも可能です。

他にも、「安さ」「移動の快適さ」など別の基準も出てきます。この複数の基準と、候補とを列挙して照らし合わせ、各候補がどのポイントを満たせるか採点します。

各基準をなるべく多く満たせる、バランスの良い場所を見つけていけば、満点は無理にせよ、80~90点レベルの結果を得られるでしょう。

会議の最後には、私は必ず「感想」を聞きます。たいていは「スッキリまとまって良かった」「短時間で結論に達して爽快だ」といったポジティブな声が出ますが、ごくたまに「なんかちょっと違う」といった、不満げな感想が出ることも。

理由は十中八九、「もっとしゃべりたかった」ということです。KJ法は平等に意見を表明させるシステムであるがゆえに、「話したい欲」のある人の納得感が低くなりがちなのです。するとその後のプロジェクトに対して
非協力的になる恐れがあります。

ならば、5分ほどになるようにまとめてもらって、別日に話してもらうのが有効。もっともKJ法で多くの意見が出るので、その話も掲示されたものと
どこかで重複するでしょう。あえて話させるのは、あくまで本人のモヤモヤを消すためのケアです。

こうして、全員の納得度を最大限まで引き上げれば会議は成功。そのあとに回り出すプロジェクトに皆が意欲的に携わり、確かな成果を生みだすでしょう。

《取材・構成:林 加愛》
《『THE21』2020年3月号より》

著者紹介

園部浩司(そのべ・こうじ)

人材育成・組織風土改革コンサルタント,研修講師,プロファシリテーター

1991年、NECマネジメントパートナーに入社。経理部に配属され、その後、事業計画部へ異動し36歳でマネージャーに昇格。さまざまな企画を立案し実行するが、チームマネジメントはプレイヤー時代のようにはいかず、成果をなかなか出せずにいたところ、あるプロジェクトにおいてメンバーとの関係が破綻。これをきっかけに、自身の変化の必要性を感じ、試行錯誤を繰り返す。すると、チームの状態が劇的に向上し、プロジェクトでも大きな成果がでるように。その後は、「メンバーの育成」と「成果」の2軸にフォーカスするチームマネジメントを行い、300名在籍の組織変革プロジェクトリーダーをつとめ、1年間で約2億円の営業利益の改善に導く。業務改革推進本部では、最年少部長に抜擢。2016年に独立し、人材育成や業務改革、風土改革のコンサルティングを行う「園部牧場」を設立。ベンチャーから大手企業までのチームプロジェクトを仕切るほか、年間2500人以上のチームリーダーやファシリテーターの育成に携わる。営業活動はSNSなどを一切使わず口コミのみ。数年先まで依頼で埋まっているコンサルタントであり、トップファシリテーター。指導した人数は、延べ2万人を超える。

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