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ムダな会議を一掃!すべての会議は「KJ法」と「共感力」で円滑に進む

2020年03月27日 公開
2023年02月21日 更新

園部浩司

必ず意見が出る「KJ法」の正しい使い方

こう言うと「実際はそううまく進まない」と感じる方も多そうです。意見を引き出そうにも口が重かったり、本音を言わなかったり。意見が出ても論点がズレたり、繰り返しになったり。

口頭で言葉を交わし合うときの交通整理は、そう簡単ではないことは重々承知しています。そこで登場するのが「KJ法」。東京工業大学の川喜田二
郎教授が1967年に考案した方法です。

KJ法は、意見を「書いてもらう」方法です。口頭での意見表明の場合、とかく人はためらったり、逆にどこまでも語ったり、脱線したり、人の意
見を否定したりしますが、「書く」ならばそれを防げます。

まず、7×7センチ程度の付箋紙をメンバーに配布し、第1段階の「現状の問題点」を挙げてもらいます。多人数なら「1人5枚」など制限をかけますが、原則的には無制限です。

「1枚につき一要素のみ」「サインペン使用」「単文でシンプルに表現」「書いたものは横に向かってはがす(貼り出したときに丸まらないようにするため)」、とルールを説明します。

3分で書いてもらい、その付箋紙を集め、似た意見を縦列に並べて貼り出します。

下の図は、「進まない会議」の現状を挙げたものです。ご覧の通り、問題
点が可視化されています。しかもこの問題群、KJ法ならほぼすべて防げることにも気づかれるでしょう。

 

 

「意見が出ない」も「心ここにあらず」も、書いてもらえているだけですでに解決。長時間の議論も起こらず、まとまりも早く、無記名なので忖度も最小限です。

こうして貼り出したあとは、メンバーがシンプルに所感を述べて共有。10~15分で、第1段階完了。同じ要領で「あるべき姿」「原因分析」「解決策」まで行なえば、問題解決に至れます。

再び、「実際はそううまく進まない」という声が聞こえてきそうですね。それはおそらく、付箋を手元に集めたときに的確に素早くジャンル分けするのが難しいからです。

その解決策はシンプル。1枚受け取ってそれを読み上げ、「似たのを持ってる人、いる?」と聞けばその場ですぐ集まります。それを縦に並べて、タイトルをつければ完了。彼らの参加意識もより高まります。
 

 

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著者紹介

園部浩司(そのべ・こうじ)

人材育成・組織風土改革コンサルタント,研修講師,プロファシリテーター

1991年、NECマネジメントパートナーに入社。経理部に配属され、その後、事業計画部へ異動し36歳でマネージャーに昇格。さまざまな企画を立案し実行するが、チームマネジメントはプレイヤー時代のようにはいかず、成果をなかなか出せずにいたところ、あるプロジェクトにおいてメンバーとの関係が破綻。これをきっかけに、自身の変化の必要性を感じ、試行錯誤を繰り返す。すると、チームの状態が劇的に向上し、プロジェクトでも大きな成果がでるように。その後は、「メンバーの育成」と「成果」の2軸にフォーカスするチームマネジメントを行い、300名在籍の組織変革プロジェクトリーダーをつとめ、1年間で約2億円の営業利益の改善に導く。業務改革推進本部では、最年少部長に抜擢。2016年に独立し、人材育成や業務改革、風土改革のコンサルティングを行う「園部牧場」を設立。ベンチャーから大手企業までのチームプロジェクトを仕切るほか、年間2500人以上のチームリーダーやファシリテーターの育成に携わる。営業活動はSNSなどを一切使わず口コミのみ。数年先まで依頼で埋まっているコンサルタントであり、トップファシリテーター。指導した人数は、延べ2万人を超える。

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