2019年12月09日 公開
2023年02月24日 更新
さらには、限られた労働力を複数の組織でシェアする仕組みが生まれる可能性もあります。日本全体で労働人口が減っていくのに、それを会社同士で奪い合っていたら、日本経済は立ち行かなくなります。
ですから、一人の人間が複数の組織で仕事を掛け持ちしたり、「1年のうち半年はA社に勤務し、残り半年はB社に勤務する」といった働き方ができたりする枠組みやルール作りが必要になるでしょう。それを可能にする企業連合体が誕生するかもしれません。
昔から農業では、農作物ごとの繁忙期に合わせて働き手が様々な場所へ移動し、労働力を共有しながら農業経営を成り立たせてきましたが、オフィスワーカーも似たような働き方になる可能性があるわけです。
これは派遣社員やアルバイトなどとは違い、正社員と同様に安定した身分や立場を保障したうえで、人材の流動化を促進する仕組みが想定されます。
守秘義務やセキュリティの関係で難しい仕事もありますが、それ以外にシェアできる業務は会社の中にたくさん存在します。この点でも、「毎日同じメンバーが一カ所に集まって仕事をする」という現在の「会社」に対する概念は、やはり古いものになっていくだろうと考えます。
このように流動的かつ柔軟な働き方ができる仕組みを持たない会社は、若い人たちから敬遠されるでしょう。以前のように若い世代が次々と入ってきて、職場がうまく世代循環していた頃は、若手も「ここで頑張っていれば、自分もいつか権限が持てる」と思えました。
しかし、若い世代が減り、いつまでも上の世代だけが権限を持ち続ければ、若手のモチベーションは低下します。すると働きがいを求める若い世代は会社を辞めていくでしょうし、さらに下の世代の学生たちは、就職時点でそんな会社を選ばなくなるでしょう。
古い働き方を社員に強いる会社は、ますますオフィスの高齢化が進んで、組織の停滞やマンネリが進行することになります。
更新:11月24日 00:05