2019年12月09日 公開
2023年02月24日 更新
路線の廃止・縮小までいかなくても、高齢者が増えれば思いがけない変化が想定されます。現在は定刻通りに走っている電車やバスも、乗り降りに時間がかかったり、手助けを必要とする高齢者が多数になれば、遅延が発生しやすくなります。
これまでは15分で移動できた取引先に30分かかるようになれば、それだけで労働生産性は下がるでしょう。こうした変化が社会のあちこちで起こるようになるのです。
これから増えるのは、80代以上の高齢者です。個人差はあるものの、80歳を超えると耳や目の機能が低下したり、理解力や判断力が衰えたりして、生活の質は下がるのが一般的です。
そして、この世代を親に持つ40代や50代の管理職世代は、親が高齢化した影響を否応なしに受けることになります。重要な会議の最中に実家の親から携帯電話に着信があったので、何かあったのかと慌てて離席して出てみたら、「瓶のフタが開けられない」といったささいな用件だったという話はよく耳にします。
職場のリーダーとして重要な役割を担う世代が、こうした形で頻繁に仕事を中断することになれば、組織の生産性にもマイナスの影響を与えかねません。
それでもまだ親が元気に暮らせるうちはいいのですが、介護が必要になれば、40代や50代でも離職せざるを得ないケースが出てきます。
現時点でも介護離職は大きな課題となっていますが、ある大企業が社内アンケートをしたら、「社員の7人に1人は介護離職の可能性あり」という結果が出て経営者が驚いたという話もあります。
離職まで至らなくても、「親を病院に送るので出社が遅れる」「デイサービスから戻ってくる親を迎えなくてはいけないので早退する」といった必要に迫られる人は、さらに増えるはずです。
更新:11月24日 00:05