コンサルティングファームの日本法人を束ね、今はビジネススクールで教鞭を執る山本真司氏が語る「管理職に必要な3つのビジネススキル」とは? 仕事を迅速に進め、部下とのコミュニケーションを円滑にする方法を紹介する。
※本稿は山本真司著『チームを動かす すごい仕組み』(PHP研究所)から抜粋・編集したものです。
私が編み出してきたリーダーのための仕組みはいくつもあるが、まず紹介したいのが「まずはとにかく仮説思考」だ。
仮説思考とは、未知の状況にも対応できるように、仮説を立てて検証し、進化させる思考法のことである。これは、ビジネスにおいて大変重要な考え方であり、常に状況を見極め、進化していくことが求められている現代社会において、必要不可欠な考え方である。
たとえば、「売上を2倍にするには、営業ルートを思い切って変える必要があるのではないか」「商品構成を大幅に見直し、売る商品を絞ったほうがいいのではないか」といったものが「仮説」に当たる。
ただ、当然ながらそれが本当に正しい答えかどうかはわからない。あくまで「仮置きの案」にすぎない。しかし、いったん仮説ができたら、その仮説が正しいかどうかを検証することだけに絞って、次の情報収集、分析作業をすることができる。それが大事なのだ。
一方、一番やってはいけないのが、「とりあえず調べてみる」こと。「とりあえず、なぜ売上が大きく上がらないのか、調べてみてくれ」「とりあえず、他社で売上が上がったケースをリサーチしてみてくれ」といったものだが、実はこれは最悪の初手。何の仮説もない中でリサーチを行ってもろくな結果は得られない。
有能なマネジャーの仕事は常に「初速勝負」。何か新しいプロジェクトを始める際、新しい期の初め、何か課題が発生した時、「初速」をいかにつけるかを意識して仕事をしてほしい。
次に伝えたいことは、「ベン図法対話術」だ。
私たちは仕事や生活において、さまざまな人と接する。しかし、その考えが完全に一致することはほぼない。それは上司と部下との関係も同じことである。こうした状況において役立つのが、「ベン図法対話術」だ。
ベン図とは、2つの円の一部が重なっている、よく見かける図のことである。会話の中で常に、これを意識しながら話を聞くのだ。
この図を意識すると、いくら自分と相手の意見が違うと感じても、そのうちの一部が重なっていることに気づくはずだ。そうすれば、共通する部分を見つけ出し、そこから話を進めることができる。
具体的な例として、プロジェクトの進行管理において、プロジェクトメンバーが異なる考え方を持っている場合、ベン図法対話術を使って、共通の目標を見つけ出し、円滑なプロジェクト遂行につなげることができる。
更新:12月04日 00:05