2019年07月19日 公開
簡単な例で、損益分岐点売上高を考えてみましょう。
売上高が1000、変動費が800、固定費が300で、純利益がマイナス100の会社があるとします。
さて、この会社の損益分岐点売上高はいくらになるでしょうか。
純利益がマイナスだから、不足の100を売上高に加えればよい、というのでしたら、何の解説もいらないのですが、そうはいきません。
売上高が増えれば、変動費も増えるからです。売上高が1割増えて1100となれば、変動費も1割増えて880に。それではまだ利益はマイナスです。
損益分岐点の基本公式は以下です。
●損益分岐点売上高=固定費÷(1−変動費÷売上高)
問題の数字をこの公式に当てはめてみると、答えは1500です。これが正しいかどうか、検算をしてみます。
売上高1500の時、変動費は1200、固定費300ですから、確かに利益はゼロ。これで損益分岐点売上高が求められたことになります。
ところで、損益分岐点売上高は「利益がゼロ」になるという売上高のことですから、黒字企業には意味のない数字のように思われます。
しかし、実際の売上高と損益分岐点売上高との位置関係などを見ることによって、価値が生ずるのです。
現状の売上高が、損益分岐点売上高を大幅に上回っていれば、多少売上が落ち込んだところで赤字になることはないでしょうから、収益面で安定度の高い企業といえます。
現状の売上高に対し、損益分岐点売上高がどのくらいの位置にあるかを、「損益分岐点比率」(あるいは損益分岐点の高さ)といいます。
たとえば、損益分岐点売上高が800、実際の売上高が1000という時、損益分岐点比率は80%です。
言い換えれば、売上が20%落ち込んでも赤字は生じないわけで、ここでの20%のことを経営安全率と呼んでいます。
実際の売上高に比べて、損益分岐点比率は低ければ低いほどよく、逆に、経営安全率は高いほうがよいことになります。
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更新:11月24日 00:05