2019年07月12日 公開
2022年05月25日 更新
「決算書」くらい読めて当然と言われる昨今。だが、そもそも決算書のどこをどう見ればその企業の状況を正しく判断することができるのか、正しく理解している人はそれほど多くはないだろう。
その中で一つ、注目すべき数値がある。それが「フリー・キャッシュフロー」だ。経理の本としては異例のシリーズ60万部を発刊した『決算書がおもしろいほどわかる本』の著者として知られ、近著『ざっくりわかる「決算書」分析』にて決算書分析のイロハを解説した公認会計士の石島洋一氏に、企業の姿勢が見えてくるという「フリー・キャッシュフロー」について教えてもらった。
決算書には、貸借対照表と損益計算書、それにキャッシュフロー計算書の3つがあることは、多くの人がご存じだと思います。このうちキャッシュフロー計算書は、比較的最近できた新しい決算書です。
そもそもキャッシュとは、現金はもちろんですが、それ以外に当座預金や普通預金、それに3カ月程度の短期の定期預金などを指します。
キャッシュフロー計算書は、決算期のはじめから終わりまでのキャッシュの増減理由を分類した表です。損益計算書が終了した1年間の儲けの状況を示すのと同じように、キャッシュフロー計算書も終了した1年間のキャッシュの動きを示しているのです。
キャッシュフロー計算書は、次の3段階に分類されています。
①営業活動によるキャッシュフロー
商品の販売や仕入、営業経費の支払いなどに関するキャッシュの増減。本業での稼ぎが大きければ、その分プラスになる。
②投資活動によるキャッシュフロー
固定資産の購入や売却などに関するキャッシュの増減。固定資産の購入等が中心なので、資金支出のほうが多くなり、マイナス表示になるのが普通。
③財務活動によるキャッシュフロー
資金の借入や増資・配当に絡むキャッシュの増減。
経営の基本的な考え方からすれば、営業活動によって稼いだキャッシュフローを投資(設備投資など)に回し、さらに余裕があれば財務(銀行への返済や株式配当など)に回すのが基本です。そのため、営業キャッシュフロー>投資キャッシュフロー(絶対値)となっているかどうかが、キャッシュフロー計算書を分析する最初のポイントとなります。
更新:11月22日 00:05