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日本企業でPDCAがうまく回らない真因

2019年03月04日 公開
2023年03月10日 更新

髙橋恭介(株式会社あしたのチーム会長)

 

大胆な目標と小さな努力は表裏一体

 前年比200%を達成する確率が上がったのは、間違いなく四半期サイクルでPDCAを回すようになってからです。

 なぜなら、1年間より四半期と期間が短いほうが具体的な行動や施策を考えやすく、それらを実行し、検証し、改善するPDCAもより短期間で回すことができるからです。

「4倍速PDCAを回せるようになったことで、前年比200%という大胆な目標を立てられるようになった」と言い換えることもできます。

 前年比200%に限らず、大胆な目標は、大きく成長するために必要不可欠なものですが、それは1年以上の中長期の目標として設定したほうがいいでしょう。

 大胆な目標を短期間で達成できるウルトラCのような方法はありません。地に足がついた地道なPDCAを何度も何度も回し続けることでしか、そして小さな改善や小さな取り組み、小さな成長を繰り返すことでしか大胆な目標は達成できないのです。

 そして、何度も何度もPDCAを回す必要があるのなら、その回転スピードの速いほうが先に大胆な目標を達成できます。

 アマゾンにしても、グーグルにしても、現在のような巨大企業になれたのは大胆な目標を設定したからです。しかし、何かノーベル賞級の発明や大発見があったから巨大企業になれたかと言えば、そんなことはないと思います。小さな改善や小さな投資を超高速で繰り返した結果が、現在のアマゾンやグーグルなのではないでしょうか。

 大胆な目標を達成するカギは、小さな努力の積み重ねであり、大胆な目標と小さな努力は実は表裏一体の関係なのです。

 ここで思い出すのは、日米通算4,000本安打を達成したイチロー選手です。

 このような大記録を達成できたのは、何か特別な打法を開発したからではなく、1打席1打席の努力と改善によってヒットを打ち続けてきたからです。イチロー選手がどのように考えて、どのような努力を日々積み重ねてきたのかは知る由もありませんが、1打席1打席、いや1球1球、超高速のPDCAを回してきたことは間違いないでしょう。

著者紹介

髙橋恭介(たかはし・きょうすけ)

〔株〕あしたのチーム 代表取締役会長/一般社団法人 スマートワーク推進機構 代表理事

1974年、千葉県松戸市生まれ。興銀リース〔株〕を経て、2002年に創業間もないベンチャー企業だったプリモ・ジャパン〔株〕に入社。副社長として人事業務に携わり、社員数十名だった同社を500人規模にまで成長させ、ブライダルジュエリー業界シェア1位に飛躍させた。同社での経験を生かし、2008年、〔株〕あしたのチームを設立、代表取締役社長に就任。現在、国内47全都道府県に営業拠点、台湾・シンガポール・上海・香港に現地法人を設立するまでに事業を拡大。約2,000社の中小・ベンチャー企業に対して、人事評価制度の構築・クラウド型運用支援サービスを提供している。

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