2019年03月11日 公開
2023年07月12日 更新
ロジカルシンキングという言葉を聞いたことがあっても、実際に仕事で使いこなすことができている人は少ないかもしれない。思考術に関するベストセラーを多数著す細谷功氏に、仕事の問題解決にロジカルシンキングを役立てる方法を、改めてレクチャーしていただこう。(取材・構成=塚田有香)
ロジカルシンキングとは、いわば世界の「共通言語」です。
日本語が通じない相手はいても、「1+1=2」というロジックは世界中どこでも通じます。そして、この論理を誰もが知っているものとして、会話や議論が行われます。もし「1+1=2」を知らない人がいたら、コミュニケーションにならないでしょう。つまりロジカルシンキングとは、それができるだけで大きなプラスにはならないけれど、できなければ確実にマイナスになるものだということです。特に最近はグローバル化が進み、ビジネス環境における多様性が高まっているため、共通言語であるロジカルシンキングの重要性はますます高まっています。
では、そもそも「論理的である」とはどういうことか。私の定義は、「誰が見ても、話がつながっていること」です。
一つ目の「誰が見ても」とは、「客観的である」ということです。個人の思いつきや感情に左右されるものは、その人の主観でしかありません。
二つ目の「話がつながっている」とは、「理由と結論がつながっていて、話の飛躍がない」ということです。
例えば、「明日は雨だから、店の売上げが上がるだろう」という文章は、一般的に見れば「話がつながっていない」状態です。しかし、「この店はオフィスビルの中にあり、雨が降ると、普段は外へ弁当を買いに行く社員たちが建物の中で用を済ませようとする」という前提があれば、話はつながります。
ただし、この「隠れた前提条件」を飛ばして話してしまったら、聞いている相手は意味が理解できません。このビルのランチ事情を共有している相手なら通じるかもしれませんが、そうでない相手には、隠れた前提を明らかにしないと話がつながらないわけです。
多様性が大きいほどロジカルシンキングが必要になる理由も、ここにあります。多様性とはすなわち、それぞれの人が「隠れた前提条件」を持っているということ。日本のように均一的な文化で多くの背景を無意識に共有しているハイコンテクスト文化においては、「隠れた前提条件」をいちいち説明しなくても、暗黙の了解で話が通じることが多いでしょう。しかし、多様性が大きい環境下では、前提条件の明示を含めて、常に「話がつながっているか」を意識する姿勢が求められます。
更新:11月22日 00:05