2018年11月09日 公開
2018年11月09日 更新
メンタルを正常な状態に戻すためには、他責をしないことも重要だ。
「会社を引き継いでから1年間は、莫大な負債を作った父を恨んでいました。問題行動を起こす社員も責めましたし、母や妻にも八つ当たりをしていました。
でも、他人を責め、被害者意識を持ったところで、何も良いことは起こりません。会社の経営が良くならなければ、ストレスやプレッシャーから解放されることはありません。
メンタルを正常に保つためにも、自分がコントロールできることと、できないことを分けて、コントロールできることに集中することが大切です。他責をするということは、自分がコントロールできないことに注意が向いているということです。
対人関係のストレスを抱えている人は多いと思いますが、他責では、そのストレスを解消することもできません。他人は、自分が望むようには変わってくれないからです。
自分がコントロールできるのは、自分の行動だけ。ですから、相手に自分が望む行動をしてもらうには、自分が相手に対してどう接すればいいのかを考えるべきです」
飲食店を経営する湯澤氏には、接客態度など、従業員に行動を改めてもらわなければならない場面もある。そのときも、他責にならないようにしている。
「その人がどういう考え方をしているのかは、変えることができません。ですから、考え方について、どうこう言うことはありません。『お店にとって、こういう行動が必要なのだ』ということだけを説明しています。
それで行動が改まらない場合は、『頼むから、俺のためにやってくれ』と言っていますね(笑)」
さらに、「自分は運が良い」と思い込むことも大切だと話す。
「スーパーでレジに並んでいるとき、自分の列が他の列よりも早く進んだら『自分は運が良い』と思う。私は7という数字が好きなので、ナンバープレートが77-77のクルマを見つけたら『自分は運が良い』と思う。そういうクセをつけています。
結局、イヤなことはイヤだし、つらいことはつらいんです。それでも、『乗り越えられる』と思えるようにすることが、正常なメンタルを保つことにつながると思います」
《写真撮影:まるやゆういち》
《『THE21』2018年12月号より》
更新:11月25日 00:05