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生まれ変わった「奇跡の国」の、表現力に乏しい人々(ルワンダ)

2018年09月05日 公開
2018年09月05日 更新

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(37)石澤義裕(デザイナー)

東京以上に安全? 完全に生まれ変わったルワンダ

路上のミシン屋さん。小袋の修理をお願いしたら、300円。ファスナーは、足元のゴミの中から拾ってました。

20世紀最後のジェノサイドから、24年。

「ルワンダの奇跡」ともてはやされるほど、目覚ましい経済復興を遂げました。

犯罪率はアフリカでもっとも低くなり、安全です。

東京の池袋あたりではおやじ狩りに遭いかねない筆者でも、夜中に町歩きできます。

ハムの子孫が街灯のない道路の真ん中に立っていたり、薮の隅にしゃがんでいたりしていちいち驚かされますが、一度もカツアゲされていません。

ボッタクリバーもありません。

虐殺=野蛮人、問答無用の暴力的な国民かと身構えていましたが、けっこう日本人に似てました。

痒いところに手が届かない微妙な英語力もさることながら、不躾にじろじろと見ないけれど、チラチラと盗み見る引っ込み思案感。

相手の顔色を伺いつつ、声は小さく、目立たないことを良しとした控えめな振る舞い。

いまいち、何がしたいのか伝わってきません。

この自己主張の乏しい性格がために、先日、殺されるところでした。

 

それじゃわからん! 自己主張しない交通整理

工事中に見えなくもない、未舗装道路。

路肩に立っていた男性が、小さく手を振ったようなしないような。

なに? 手話?

バックミラーで覗くと、心持ち困惑の表情を浮かべて、呆然と立ち尽くしています。

両手に持った旗は、膝のあたりでパタパタパタ。

ハエでも追っ払っているのかと見ていたら、突然クラクション。

目の前に、爆走トラック。

逆走っ!

反対車線に逃げようとしたら、工事中!

三途の川の手前で、気づきました。

あの男性は、交通整理をしていたんですね!?

ハエではなくて、車を止めようとしていたんだって。

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著者紹介

石澤義裕(いしざわ・よしひろ)

デザイナー

1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。新宿にてデザイナーとして活動後、2005年4月より夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。

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