2018年05月12日 公開
2023年03月16日 更新
思考を整理する際にもう一つ重要なのが、アイデアを生み出すための素地となるインプット(情報収集)の質や量です。人は無意識に、バイアスという「思考の偏り」に引っ張られがちなので、情報収集の段階から注意が必要です。
バイアスにはさまざまなものがありますが、ここでは2種類紹介します。
1 調査対象などに偏りが出る「選択バイアス」
2 自分に都合のいい情報のみを集める「確証バイアス」
バイアスは思考を歪ませてしまいます。インプットをする際は意識的に日頃見ない情報にも目を向けてみてください。インターネットでの情報収集がメインなら、雑誌や書籍に場を移してみる、といったバランスを意識すると、より客観的に思考を整理することができます。
また、商品のアイデアなどの思考に行き詰まったら、考える工程から一度離れ、顧客を徹底的に観察してみると、スランプ脱出の一助になります。
マーケティングでは「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」という概念があります。顧客が言語化できるのが顕在ニーズで、顧客が言語化してくれなかったり、顧客自身も気づいていなかったりするのが潜在ニーズです。潜在ニーズは見つけづらい分、発見できると競合他社に大きなリードをつけられます。
この潜在ニーズを見つけるうえで、近年注目されているのが「デザイン思考」というアプローチです。これは、IDEOという世界的に有名なデザイン会社が採り入れている、優れたアイデアを生み出すための思考法です。この最初のステップが「共感」。つまり、顧客目線で徹底的に観察すると、顧客自身も気づいていない不便さや、言いづらくて言えないような不満に気づくことができる、というものです。考えることに行き詰まったら、観察を行なってみましょう。
1 情報を多面的に分類する
普段から情報を分類する癖をつけると、思考の整理力が養われる。たとえば、自身の顧客を分類する。「年代別」「地域別」「収入別」「職業別」など多様な分け方ができるはずだ。また、「利益=売上-コスト」と分けてみると「コスト削減案ばかりで売上げアップ案が不足している」など、ヌケモレの発見もしやすい。分類できる引き出しが多いほど、思考の整理も短時間かつスムーズに行なえるようになる。
2 SNSで感想を書く
FacebookやTwitterへの投稿など、多くの人が日常的に使用する場面を活かしてトレーニングするのも効果的。頭の中で浮かんでいる内容を言語化する訓練になる。映画などの感想を書いたら、同じ作品に対する他の人のレビューの閲覧もしてみてほしい。着眼点や言い回しの引き出しを増やせるだろう。
3 図解をストックする
ネットや新聞、書籍は図解の宝庫。目についた図解はスマートフォンで撮影してコレクションしておこう。中でも気に入った図解は、自分でもマネしてパワーポイントや手書きでの作成にチャレンジを。口に出さないと英語を話せるようにならないのと同じで、眺めているだけでは自分の血肉にはならない。図解の体得はインプットと練習の繰り返しが肝要だ。
4 聞いた話を図解にしてみる
人から聞いた話を図で整理する習慣をつけると、思考の整理力やプレゼン力が飛躍的に向上する。一見意味が取りづらい文章も、図解してみるとわかりやすくなるはずだ。
《『THE21』2018年5月号より》
更新:11月22日 00:05