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中国人に勝ちたいなら「稟議」を廃止せよ

2018年03月08日 公開
2023年03月23日 更新

白井 良(ソーシャルマン代表取締役)

猛スピードで日本を追い越した「爆速都市」

中国の経済成長を支えた最大の原動力は何でしょうか。鄧小平が始めた改革開放政策のダイナミズム。圧倒的な人口。広大な国土。そして、低コスト高品質の生産基地として世界中の企業が進出をしたこと。日本企業も欧・米企業も、この恩恵に浴してきました。

いまや、立場は逆転。“爆速都市”と言われる深圳は、ハイテク、IT、金融と、カオスの中から、ありとあらゆる急成長企業を産み出しつつ、21世紀をけん引する世界的経済都市の一つになりつつあります。日本ではまだ一般にあまり名前を知られていない企業が、ドローンや電気自動車の世界シェアをわしづかみにしています。

改革開放が始まったばかりの80年代、日本は「ジャパンアズナンバーワン」と言われ、経済超大国としての地位を謳歌しました。残念ながら、その後の展開はご存知の通り。いまその勢いは見る影もありません。

では、何がこの差を生んだのでしょうか。中国のビジネスと日本のビジネスは、何が違うのでしょうか。日本は、どこに向かって、変わっていけばよいのでしょうか。

最大のポイントは、スピードです。中国人のビジネスは「即断即決」です。商談に臨むときは、決めることができる人物が、そこにいることが必須です。しかし、日本企業は幾重にもステップを踏みます。

しかも、日本人の踏むステップは、いつも内側に向かって踏むステップなのです。その代表的なものが、稟議、社内調整(根回し)、そして、忖度(そんたく)と言われる文化です。

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ひたすら内向きな「稟議」というシステム >

著者紹介

白井 良(しらい・りょう)

ソーシャルマン代表取締役

ソーシャルマン株式会社代表取締役。大手証券会社を2年で退社、25歳で中国の経済特区、深圳で起業。中国人スタッフを雇い、中国企業を相手にビジネスをし、中国のビジネス文化に精通する。働き方改革のためのクロスボーダーお仕事プラットフォーム「ソーシャルマン」をローンチ。同時に、ミュージシャンとしてソーシャルマンバンドを結成。3月14日ホワイトデーにメジャーデビュー。慶応義塾大学中退、北京語言大学卒業。

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