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急増する「シニア社員」問題への処方箋

2018年01月31日 公開
2018年01月31日 更新

見波利幸(シニア産業カウンセラー)

20年後、「お荷物社員」と呼ばれないため、今すべきことは?

退職後の雇用延長や再就職が当たり前となりつつある昨今、職場のシニア社員に手を焼く管理職も多いのではないだろうか。だが一方で、このままでは将来、自分もまた「お荷物社員」と呼ばれる可能性も十分ある。では、そうならないために今すぐ磨いておくべき能力とは何か。シニア産業カウンセラーの見波利幸氏にうかがった。

 

こんなシニア社員、会社にいませんか?

 現在、多くの職場で悩みの種となっているのが、60代以上の「シニア社員」です。2013年の「改正高年齢者雇用安定法」施行に伴い、60歳で定年を迎えた人のうち、希望者については雇用延長が義務づけられました。それ以来シニア社員の数は増える一方ですが、その中には「お荷物社員」も少なくありません。

 数々の相談例から、それらの人々の働きぶりをひもとくと、おおよそ6タイプに分けられることがわかってきました。

 一つ目は「嘆きタイプ」。かつての役職を失ったことや、給料が下がったことでやる気をなくし、仕事に消極的になっています。不満や愚痴をすぐ口にして、現場の士気を下げてしまいます。

 二つ目は「おんぶに抱っこタイプ」。パソコンなどの新しいツールを使いこなせず、年下社員に依存しては、周囲の仕事の手を止めてしまう人たちです。

 三つ目は「我が道を行くタイプ」。これまでの仕事内容や仕事スタイルに固執し、そこから外れた仕事には拒否反応を示します。仕事を「好き嫌い」で選んでしまうタイプです。

 四つ目の「ご隠居タイプ」は、会社を「茶飲み話をする場所」だと思っています。同僚が多忙でも、お構いなしに雑談を持ちかけてくるのが特徴です。

 五つ目は「無責任タイプ」。自分は一線を退いた、という思いがあるせいか、当事者意識ゼロ。担当者を無視して安易な約束をしたり、コンセンサスのない事項に関して勝手な行動を取ったりと、混乱を招きます。

 最後は「勘違いやり過ぎタイプ」。自信過剰で、昔の手腕を周りに役立てられると思い込み、望まれてもいない場面にまで口を出そうとします。その部署のリーダーを無視して場を仕切ろうとすることも。

 このように、ひと口に「お荷物社員」と言ってもタイプはさまざま。しかし、いずれの場合も共通するのは、「望まれる役割を果たしていない」ということです。嘆きタイプ・おんぶに抱っこタイプ・ご隠居タイプは仕事への意欲を失っていて、周囲の役に立とうとする意識がありません。我が道を行くタイプも、やりたいこと以外へのモチベーションは皆無。無責任タイプや勘違いやり過ぎタイプも、現場で求められている仕事は何か、ということに無関心です。

 周囲や顧客のニーズを考えず、正しく自分の役割を認識できていないことが、お荷物社員の本質的な問題点と言えます。

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それは、20 年後の自分の姿かもしれない >

著者紹介

見波 利幸(みなみ・としゆき)

〔一社〕日本メンタルヘルス講師認定協会代表理事

1961年生まれ。大学卒業後、外資系コンピュータメーカーなどを経て、98年野村総合研究所に入社。メンタルヘルスの黎明期より管理職向け1日研修を提唱するなど、日本のメンタルヘルス研修の草分け的存在。現在はエディフィストラーニング㈱(キヤノングループ)の主席研究員として、研修や講演、カウンセリングや職場復帰支援を行なう。著書に、『劣化するシニア社員』(日経プレミアシリーズ)など。

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