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メールは「件名」にひと工夫すると差がつく!

2018年03月28日 公開
2024年10月02日 更新

中川路亜紀(コミュニケーション・ファクトリー代表)

求められる文章スキルは「ほどよく丁寧」かつ「簡潔」

中川路亜紀

ビジネスのコミュニケーションは、もはや対面のコミュニケーションや電話よりもメールが主流になっている。しかし、細かいルールがわからない人も多く、文章だけでやり取りするメールでは、誤解も生じやすい。また、メールのコミュニケーションに求められるスキルも時代によって変化している。ビジネス文書やメールのコミュニケーションについての著作を多数手掛ける中川路亜紀氏に詳しくうかがった。(取材・構成=塚田有香)

 

メールのトレンドは「丁寧」から「簡潔」に

ビジネスメールに必要なスキルや心得るべきマナーは、時代とともに変化してきました。

メールが仕事で使われ始めた頃は、パソコンのスペックが低かったので、データ容量が大きくならないよう、宛名も挨拶もなしで電報のように用件のみを書くのがマナーでした。しかしIT環境が進化するにつれ、時候の挨拶や丁寧な前置きを書く人が増え、メールは次第に長くなる傾向が続きました。

それが最近は、再び短さや簡潔さが求められるようになりました。仕事の効率や生産性の向上が求められるようになったことに加え、LINEやメッセンジャーなどのSNSが普及し、短文でのやり取りが増えたことも大きく影響しています。

とはいえ、内容を省略しすぎて必要な情報が抜けてしまったら、ビジネスメールとして成立しません。また、最低限の丁寧な表現まですべて省くと、相手に不快感を与えてしまいます。

短く端的かつ、ほどよい礼儀正しさを備えたメールを書くこと。これが今、あらゆる人に求められるスキルになっています。

 

相手との関係によって表現を変えていく

では、そのためにはどうすれば良いのでしょうか。何よりも基本となるのは、読む相手のことを思いやることです。対面のコミュニケーションとは違い、メールはお互いの表情や声などがわからないので、相手に冷たい印象や威圧感を与えることがあります。こちらは笑顔で「明日までにお送りください」と書いても、相手は「無理強いされているようで怖い」と感じる可能性もあるのです。かと言って、あまり過剰に丁寧な表現で長文を書くのも、メールのコミュニケーションにはふさわしくありません。

そこで提案したいのが、文末の表現を工夫したり、気の利いた一文を添える方法です。前述の例ならたとえば、「お送りくださいますようお願いいたします」と語尾を変えるだけで、相手が感じるプレッシャーは和らぎます。また、頼みごとをするなら、「お忙しいところ恐縮ですが」「お手数をおかけしますが」などと添えるだけで印象は大きく変わります。

相手との関係性やコミュニケーションの回数によって書き方を調整するのも端的かつ礼儀正しく伝えるコツです。たとえば、初めてメールを送る相手には、文章に最大限の配慮をすべきです。とくに最初のメールが依頼であれば、「不躾なお願いで恐縮ですが」などといった丁寧なひと言を添えましょう。

一方、気心が知れた相手ならば、こうした表現は省いて構いません。むしろ頻繁にやりとりする相手にルーティンな連絡をする場合は、簡潔かつワンパターンな文章でOK。「お世話になっております。今月分の請求書をお送りください」といった定型文が毎回届けば、相手も「特別なことはなく、いつもどおりでいい」とわかって効率的です。

 

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著者紹介

中川路亜紀(なかかわじ・あき)

コミュニケーション・ファクトリー代表

1956年、兵庫県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社勤務を経て、98年にコミュニケーション・ファクトリーを設立。ビジネス文書、メールなどのビジネスコミュニケーション関連の企画・著述・講演活動を行なっている。『ビジネスメール文章術』(ダイヤモンド社)、『あなたのメールは、なぜ相手を怒らせるのか?』(光文社新書)など、著書多数。

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