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これから10年、伸び続ける業界&沈む業界[前編]

2018年01月22日 公開
2018年01月25日 更新

岩崎日出俊(経営コンサルタント)、水野 操(ニコラデザイン・アンド・テクノロジー社長)

 

「AI」をネガティブに捉える必要はない

 日本人にとっては、なかなか厳しい現実だ。では、日本経済に明るい兆しはないのかと言えば、そうではない。そのキーワードになるのが、AIやロボットなどの「テクノロジー」。製造業でコンサルティングや製品開発を手がけ、これらの最新技術に詳しい水野操氏は、こう解説する。

「AIは、『人間の雇用を奪う存在』としてネガティブに語られがちですが、私はAIを脅威とは考えていません。なぜなら現在のAIは、あくまで何かの作業や業務に特化した単機能だから。たとえば『アルファ碁』はプロ棋士にさえ勝つ能力があるものの、投資の運用サービスを提供したり、車を自動運転するなど他のことはできません。

 一方、人間の仕事は、データ分析もすれば、資料も作るし、商談もするといったように、一人が複数の機能をこなし、さらにその全体を見て総合的に判断しながら行なうもの。こうしたマルチタスクを人間同様にこなせるAIはまだ存在しないし、今後10年で実現する見通しは高いとは言えない。もちろん、データ分析だけはAIに任せるなど、仕事の一部は置き換わりが加速するでしょう。しかし、少子高齢化が進む中、最新のテクノロジーを活用して業務を効率化したり、作業を機械化することは、むしろ日本企業が成長するために必要不可欠なはずです」

 また、産業構造の変化が起こらず、新しいビジネスの担い手が育っていないという課題についても、テクノロジーが突破口になると水野氏は見ている。

「これまでは、『優れたアイデアや技能はあるが、資金がなくて商品化やサービス化ができない』という中小企業やベンチャーは非常に多かった。ところが今は、3Dプリンターのように低価格でもの作りができる技術が次々と登場している。誰もが最新のテクノロジーに手が届くようになったことで、新規参入が進んだり、既存のメーカーとベンチャーが協業したりと、今までになかったビジネスを生み出すチャンスも増えるはずです」

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