2015年04月20日 公開
2023年05月16日 更新
グローバル化とIT化によって急速に世界が身近になり、今後これまでと同じ働き方では生き残れない時代になってくる。盤石であった産業や企業も、一歩踏み間違えれば凋落の一途をたどることとなるだろう。今後、日本の各業界はどのような変化を遂げ、我々はどのような心構えを持っておくべきか、専門家にうかがった。<取材・構成:麻生泰子>
「日本経済の先行きは、驚くほど明るい展望が見えています。
少子化で国内市場は縮小しますが、世界の人口は現在の約72億人から、2025年には80億人に増え、需要は拡大の一途。さらにインドや中国、ASEAN諸国の経済成長が続き、“アジアの時代”に突入します。同じアジアに位置する先進国の日本は、欧米諸国に比べてその波を早く的確につかめる可能性が高い。
また、アベノミクスによる構造改革・規制緩和が進み、国内市場も大チャンスが巡ってきます。外国企業や外国人が活躍しやすい環境を整えられれば、世界の需要を呼び込むことが可能になっていくはずです」
世界の経済事情に詳しい野村ホールディングス㈱シニア・コミュニケーションズ・オフィサーの池上浩一氏は、これから10年間の未来を読み解く。
事実、日本経済の明るい兆しはすでに出始めている。ラッセルノムラ日本株インデックスによれば、2014年度の日本の主要企業の経常利益はバブル全盛の1989年度の2倍に達すると予想されている。しかし、実感としてはバブル期のような好景気は感じられない。
それには理由がある。企業の決算には国内事業の単体決算と、世界のグループ全体の連結決算がある。国内事業に限れば、確かに利益はあまり出ていない。しかし、主要な日本企業は2013年度から世界全体のグループ利益で史上最高利益を更新しているのだ。
では、国内の産業はどうなっていくのか? 『10年後に食える仕事 食えない仕事』で日本人の仕事を論じたジャーナリストの渡邉正裕氏は指摘する。
「このままでは従来の国内産業はすべからくジリ貧をたどることは間違いない。今の事業を足がかりに、いかに成長事業に踏み出せるかで勝敗が決まります。
たとえば観光業で言えば、これまでのようにお客を待っているだけでは着実に衰退します。外国人観光客や高齢者好みのサービスを充実させたり、ネットで広くPRしたり“かけ算”を仕掛けていくことが必要です」
渡邉氏は、どの業界も「IT」「グローバル」「高齢者」のいずれかの要素をビジネスに結びつけることができれば、ブレイクスルーが期待できると語る。好景気に乗れるか、「負け組」になるか。我々はまさに分岐点に立たされているのだ。
更新:11月23日 00:05