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疲れを溜めない「ストレスコントロール」の極意

2018年01月18日 公開
2023年01月23日 更新

<連載>MBA医師が教える 40代からの「疲れリセット」術(最終回)裴英洙(医師/ハイズ代表取締役社長)

ストレスコントロール

自分の強みを認識すれば、怒りを制御できるようになる

 そして、この中長期的視点に欠かせないのが「自信」です。自分に自信のない人は、良い評価や褒め言葉など、他者からの良い反応を常に求めています。ですから、その時々の評価にとらわれがち。他人を下げることで自分を上げて安心感を得ている人もいます。

 そこに陥らないようにするには、自分の強みや個性をきちんと認識し、外ではなく自分の中に答えを見つけることです。

 怒りを抱えているときも、怒りのモトとなった外的要因に目を向けるのではなく、「なぜ腹が立つのか」「そこにはどんな心理が働いているのか」などと、自分の内面を深掘りしていくことで、冷静さを取り戻すことができるでしょう。

 同時に、自分のことだけでなく、部下や周りの人の個性もきちんと認めてあげることが肝要です。2つ目の視点転換でもお話ししましたが、40代ともなると、頭が固くなり、何事においても「こうあるべき」という「べき論」が増えてくる傾向があります。自分と違う考えもある、という多様性を認めることで、ちょっとしたことで腹が立ったり、ストレスを溜めたりすることが少なくなるでしょう。

 また、もし部下に相談を持ちかけられたら、「君と似たケースで、こんな話を聞いたよ」「そんなときは確かに、そう感じてしまうよね」など、一般論に近づけた話し方でアドバイスを。この対処の肝心な点は、主語を「YOU」にしないことにあります。第三者のエピソードとして「THEY」で語ったり、一般論として「WE」で話すことが考えるヒントになります。

上司の立場から選択肢や答えを示したり、「べき論」で返したりしがちですが、部下の悩みを受け止め、結論は本人に出させることが、結果的に自分も多様性を認めるトレーニングになるでしょう。

 こうやって周りの多様性を認め、自分の感情をコントロールできるようになることが、ストレスを最小限にする第一歩です。その中でも怒りの感情をコントロールできるようになれば、周りに安心感を与えられる「できるビジネスマン」と言えるでしょう。

≪取材・構成:林 加愛≫
≪写真撮影:まるやゆういち≫
≪『THE21』2017年9月号より≫

著者紹介

裴 英洙(はい・えいしゅ)

ハイズ〔株〕代表取締役社長/医師/医学博士/MBA

1972年、奈良県生まれ。金沢大学医学部卒業後、金沢大学第一外科に勤務。医師として働きながら、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應ビジネス・スクール)を首席修了。ビジネス・スクール在学中に、医療機関再生コンサルティング会社を設立。現在も医師として臨床業務をしつつ、医療機関経営に関するアドバイスを行なう。著書に、『一流の睡眠「MBA×コンサルタント」の医師が教える快眠戦略』(ダイヤモンド社)など。

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