2017年12月14日 公開
2023年03月23日 更新
40歳前後になると出てくる「疲れがなかなか取れない」「若い頃のように働けない」という悩み。「疲労」はなくすことができないとしたら、私たちはどのようにつきあっていくべきなのだろうか。医師であり、コンサルタントとしても活躍する裴英洙氏にアドバイスをいただく。
40代を迎える頃から、「明らかに身体が変わってきた」と感じる人は多いでしょう。
階段の上り下りがきつくなる、身体のあちこちが痛い、脂身の多い肉を食べると胃がもたれる、徹夜ができなくなる……。そして何にもまして、「疲れやすくなった」ことを実感しているのではないでしょうか。
歳とともに身体が疲れやすくなり、疲れが取れにくくなるのは避けようのない現象です。なぜなら、身体の運動機能を支える組織は、加齢とともに衰えていくからです。
たとえば筋肉。筋肉は細い「筋線維」が何本も集まってできていますが、この線維の数は40歳頃から、年に0.5%ずつ減っていくと言われています。その結果、筋肉量や筋力は年々低下していくのです。
骨にも変化が現われます。骨密度や骨の量が低下し、ひどい場合は骨粗しょう症になることも。これらの変化が、「ちょっとしたことで疲れる」「肩が凝る、筋肉が張る」といったことにつながるのです。
こうした体力の衰えに抵抗しようと、いきなりランニングやジム通いを始める人がしばしばいますが、これは考えものです。適度な運動ならば問題ないのですが、過去の自分を目指し、その頃と同じ体力をつけようと一念発起するのはケガのモト。運動をしすぎて体力が消耗し、仕事に支障が出るリスクもあるので要注意です。
その一方、「疲れなどまるで感じない」という元気な40代もいます。しかし、これはこれで問題あり。疲れを感じないからといって、身体が疲労していないわけではないからです。
仕事に意欲的で強い達成感を感じている人ほど、疲労感を感じにくい傾向があります。しかし、その裏で実際は疲労が蓄積しており、放置していると取り返しのつかない大病につながることもあります。「疲労と疲労感は違う」と心得て、40代になったら自分の身体と向き合ってください。
つまるところ、「身体は疲れるものである」のは変えようのない事実。いつまでも若く、疲れない身体を手に入れたいと望んでも、それは「青い鳥」のように実現不可能なもの。まずはそれを認めることが大切です。
更新:11月22日 00:05