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40代ビジネスマンに最適な食事の仕方とは?

2017年12月28日 公開
2023年01月23日 更新

<連載>MBA医師が教える 40代からの「疲れリセット」術(3)裴英洙(医師/ハイズ代表取締役社長)

 

朝食と昼食の戦略的な摂り方とは?

 40代以降のビジネスマンが、数日単位で食事のバランスを取る際は、比較的自由度の高い「朝食と昼食」の摂り方がキーポイントとなってきます。

 忙しいビジネスマンは朝食を抜く人も多いかもしれませんが、朝食抜きはお勧めできません。なぜなら前述のとおり、40代は腸の動きが鈍くなるせいで便秘になりやすく、意識的に腸を動かす必要があるからです。

 人間の身体は、食物を入れると胃腸が動き出す「胃結腸反射」という性質を持っています。朝はとくにこの反射が活発なので、朝、野菜ジュース1杯、ヨーグルト1皿であっても、何か食べれば腸の蠕動(ぜんどう)が促され、排便しやすくなるのです。

 ちなみに便秘は、水分を意識的に摂ることでかなり改善します。私は毎朝、ぬるま湯を1杯飲むことを習慣づけていますが、これも「快便」に効果的。朝の貴重な時間でも、ただのお湯で準備に手間がかからないので、快便ルーティンとして取り入れています。

 では、昼食の心得はなんでしょうか。それは、午後のパフォーマンスを落とさないこと。昼休みは午後に備えた投資の時間と捉える視点が重要です。より端的にいえば、“眠くならないランチ”が大事、ということです。

 午後の眠気に悩まされたことのない人は少ないでしょう。これは睡眠を司る体内時計のサイクルをはじめ、さまざまな要因が絡んで起こりますが、その一つはホルモン。食事を摂ると、脳を目覚めさせる「オレキシン」というホルモンの分泌量が下がります。つまり、食事をして血糖値が高くなると、オレキシンの分泌が低下し、眠気が襲ってくるのです。

 ランチに早食いやドカ食いをしてしまうと、血糖値が急激に上昇し、さらによくありません。最近の研究では、「決まった時間に食事をし、よく噛んで食べる」という食習慣が、オレキシンの分泌を整え、それに伴い血糖値の上昇を抑えることがわかってきました。覚醒状態を続けるためには、血糖値の上昇をできるだけ緩やかにする。つまり、よく噛んでゆっくり食べることが大切なのです。

 そこで大切なポイントは、ランチの店と席を賢く選定することです。その条件は3つ。「隣

のテーブルと距離がある店」「椅子の座面が広い店」「入り口が見えない席」を選ぶのが得策です。これなら、リラックスしてゆっくりと食べることができるからです。

 混雑したカウンター席や立ち食いソバの店などで、周囲が常にせわしなかったり、座り心地・居心地が悪かったり、入り口付近に次の客が待っているのが見えたりすると、「さっさと出よう!」という意識が働いて、早食い・ドカ食いにつながってしまうのです。

 最後に、これらの工夫を長続きさせるコツとして「週に1回のご褒美ごはん」をお勧めします。環境的にも健康上も、何かと制限の多い食生活を送る40代。そのストレスをリセットするためにも、週に1回くらいは好きなものを、好きなように食べましょう。こうした「心のピットイン」も、長く健康に働き続けるためには不可欠なのです。

≪取材・構成:林 加愛≫
≪写真撮影:まるやゆういち≫
≪『THE21』2017年6月号より≫

著者紹介

裴 英洙(はい・えいしゅ)

ハイズ〔株〕代表取締役社長/医師/医学博士/MBA

1972年、奈良県生まれ。金沢大学医学部卒業後、金沢大学第一外科に勤務。医師として働きながら、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應ビジネス・スクール)を首席修了。ビジネス・スクール在学中に、医療機関再生コンサルティング会社を設立。現在も医師として臨床業務をしつつ、医療機関経営に関するアドバイスを行なう。著書に、『一流の睡眠「MBA×コンサルタント」の医師が教える快眠戦略』(ダイヤモンド社)など。

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