2018年02月28日 公開
2023年03月23日 更新
社会人は忙しい。しかも記憶力は低下し、気力も湧いてこない。「勉強できる人はもとから勉強好きなのでは」と思う人もいるだろう。それを否定するのは、難関の税理士を含む数々の資格を取得し、専門学校講師としても活躍するスーパーサラリーマンの石川和男氏。学生時代にはほとんど勉強してこなかった石川氏だが、30代で「1日30分」の勉強を始めて以来、人生を大きく変えるに至ったという。その社会人ならではの勉強法とは。《取材・構成=林加愛》
勉強が身につくか否か――その分かれ目はいくつもありますが、最初のポイントは「目的意識の明確さ」です。
子供の勉強の目的は、好き嫌いを問わず、さまざまな分野の知識に触れ、自分に向いていることを見つけることです。対して大人はもう自分の適性をある程度つかめています。そのうえで、独自の目的を定め、それに即した分野を学ぶべきなのです。しかし、ここで目的設定を誤ると失敗します。よくあるのは、「資格取得」など目に見える結果をゴールにしてしまうこと。この場合、取得後にモチベーションが続かず、せっかく学習したことも、活かせないまま記憶から抜け落ちていくでしょう。
大事なのは目先の目標ではなく、学びを「何に活かしたいか」を考えることです。「語学を学んで海外事業に参加したい」などの長期的ビジョンが不可欠なのです。ここが明確かつ具体的であればあるほど勉強は実りあるものとなります。モチベーションはもちろん、学習内容の吸収力もぐっと上がります。
目的は、ぜひ紙に書き出すことをお勧めします。その夢の「関連物」が目につきやすくなるからです。これは心理学用語で「カラーバス効果」と呼ばれるもの。私も、「税理士になる」という目標を書き出したとたんに、合格のために必要な情報を得ようと意識するようになりました。日常生活の中で忙殺されると忘れてしまいそうな目標・目的標を心に留めておくために有効です。
次の関門は「計画」です。「勉強をしよう」と思い立った直後、人はたいてい高揚感に満ち溢れているもの。しかし、その気分のまま作ったスケジュールを実践するのは困難です。
なぜなら、そうした計画は勢いづいて「詰め込み過ぎ」になりがちだからです。高揚感が鎮静化した後、だんだん負担になってきて挫折する、というケースは少なくありません。
ですから、計画は「立てた後に20%削る」のが得策です。達成までのスピード、かける時間、テキストを読むページ数など、抑えるポイントは何でも構いません。最終的に「少し」頑張れば達成できそう、という程度に収めるのがコツです。
加えて、1週間に少なくとも1日は、勉強の予定を入れない日を作りましょう。これは、それ以外の6日間で達成できなかった部分をフォローする日です。
仕事であれ勉強であれ、予定には必ず遅れが生じます。あらかじめ、「予備日」を用意しておくことで追いつくことができます。
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更新:11月22日 00:05