2017年11月30日 公開
2023年03月23日 更新
では、過剰演出を卒業して「シンプル資料」を作るコツは何でしょうか。
その答えは、意外かもしれませんが「文章力」を上げることにあります。図の助けを借りずにどれだけ説明できるか、正確性と具体性を備えたメッセージをどう明確化するかがカギです。
したがって、資料作成時に最初からパワーポイントを立ち上げるのは厳禁。まずは、紙の上に目的や構成を書き出すことから始めましょう。
内容を「箇条書き」で書く訓練もお勧めです。問題提起、解決策、結果、とプロセスを区分けして項目ごとに一行ずつ伝えたいことを書き、それを文章につなげていくと、明確なメッセージが浮かび上がってきます。
途中までラフに作った段階で、それに合わせて「しゃべってみる」のもお勧め。これは「ウォークスルー」といって、若手コンサルタントによく実践させていた方法です。うまく話せない部分が見つかるたび、そこをピンポイントでブラッシュアップしていけば万全です。
このプロセスを踏めば、短時間で「伝わる資料」を作れるスキルがついてきます。資料作りに時間がかかってプレゼン時の語りの準備ができず、本番でしどろもどろ──という、よくある失敗も回避できます。
つまるところ、図作成やレイアウトの能力を磨くよりも大事なのは「文=メッセージ」を固めること。その基盤があってこそ、骨太で信頼性の高い資料が作れるのです。
≪取材・構成:林 加愛≫
≪『THE21』2017年11月号より≫
更新:11月25日 00:05