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アマゾンが描く「2022年の世界」とは?

2017年11月29日 公開
2022年06月09日 更新

田中道昭(立教大学ビジネススクール教授)

人類はアマゾンなしでは生きられなくなる!?

――さきほど、アレクサが生活サービスのプラットフォームになると指摘されていたように、ECからスタートして、リアル店舗にも進出してきたアマゾンは、私たちの生活に欠かせないものになりつつあります。今後、ベゾス率いるアマゾンは、私たちにどのようなインパクトを与えると考えられますか。

私は近い将来、アマゾンは、無人コンビニである「アマゾン・ゴー」をさらに進化させた店舗を多数展開するのではないかと考えています。商品を手に取ったまま店を出ると自動で決済されるのはもちろん、ネットで注文した服を試着するスペースや、イートインカフェ、シェアオフィスなども完備されている、そんなコンビニです。

また、利用者は、アマゾン・アレクサを搭載したデバイスを持っていれば、生産者情報などを含む商品の詳細をシームレスに把握することができたり、店頭にある商品について「自宅まで運んでほしい」と瞬時に指示を出すことも可能になってくるでしょう。そして、すでに、米国アマゾンでは「アマゾン・フレックス」というサービスが開始され、従来の宅配業者に頼らない宅配網整備に着手していますが、将来的には一般の人が会社の行き帰りなどを利用して荷物を運ぶサービスに従事する可能性すら秘めています。

さらに、アマゾン ウェブ サービス(AWS)がクラウドコンピューティング、ビッグデータ分野で拡大を続けていますし、ベゾスは宇宙事業も本格化させています。すでに「ECの巨人・アマゾン」という言葉は過去のものになりつつあり、「エブリンシング・カンパニー」「テクノロジー企業」へと進化していると捉えなければ、アマゾンの本質を見誤ることになるでしょう。

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「巨人」アマゾンに死角はあるか? >

著者紹介

田中道昭(たなか・みちあき)

立教大学ビジネススクール教授

シカゴ大学ビジネススクールMBA。戦略論を専門として、経営を中核に政治・経済・社会・技術の戦略を分析する「戦略分析コンサルタント」でもある。三菱東京UFJ銀行投資銀行部門調査役、ABNアムロ証券会社オリジネーション本部長などを歴任。現在、株式会社マージングポイント代表取締役社長。著書に、『アマゾンが描く2022年の世界』『2022年の次世代自動車産業』(ともにPHPビジネス新書)など。

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