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40代から磨くべき「2種類のスキル」とは?

2018年01月12日 公開
2023年01月30日 更新

柴田励司(Indigo Blue代表取締役会長)

「五つの心の持ちよう」が40代以降の成長の鍵

加えて「心の持ちよう」が、40代以降も自分を伸ばしていけるかどうかに大きく影響する。

「私がいつも勧めているのは、五つの心の持ちようです。

一つめは、自分の心に素直に動く。もし職場のゴミ箱が一杯になっていたら、『自分は今忙しい』『これは若手がやるべきだ』などと言い訳せず、素直に自分がゴミを捨てればいい。自分がやらないことを正当化する人は、『ポータブルスキルを身につけましょう』と言われても、やはり同じように言い訳して、結局やらないまま終わるでしょう。

二つめは、自分以外は全て『師』と考える。よく店員やタクシーの運転手に横柄な態度をとる人がいますが、どんな場面や相手からでも必ず学ぶことがあると考える謙虚さを持つべきです」

三つめは、「執着ではなく執念」。自分の考えに執着するより、目的のためなら何でもするという執念を持つべきということだ。

「執着が強い人は、意見が異なる相手を論破しようとします。しかしチームとして良いものを生み出すためなら、たとえ大嫌いな相手の意見でも取り入れようとする執念を持てる人こそ、器が大きいと言えます。

 四つめは、理と情のバランスをとる。人とのコミュニケーションでは、理より前に情が来る。最初に相手を『好きだな』と思えれば、その後の説明が多少合理性に欠けても許せるもの。逆に、完璧に筋の通った説明でも、相手との信頼関係がなければ納得してもらえません。

 五つめは、レジリエンス。『折れない心』や『へこたれない心』を意味します。落ち込むことやうまくいかないことがあっても、すぐ立ち直れる人なら何度でもやり直せるし、成長できます」

 

人とのつながりが人生後半には重要になる

50代を迎えた今、柴田氏は「40代の過ごし方が、以降の人生を決める」と実感している。

「私が40代でやってよかったと思うのは、人脈作り。これは単なる名刺集めではなく、何かあった時に、電話一本でお願いごとや相談をし合える人をどれだけ作れるかという意味です。

そのために実践しているのが、自分の知り合い同士をつなげること。『あの人とあの人を会わせたら面白そうだな』と思ったら、すぐ紹介します。ここで『この人脈を営業に役立てよう』などとは考えない。すると、利害関係のない純粋な人と人とのつながりが広がり、それが今では私の大きな財産となって、ハッピーな五十代を送っています。

今後は、70歳まで働くのが当たり前の時代になるでしょう。つまり40代は、長い人生の通過点にすぎない。50代や60代が楽しくなるか、それともつらくなるかは、この十年の過ごし方次第。だから今こそいったん立ち止まり、自分の棚卸しをして、足りないものを身につけてもらいたいと思います」

 

「ポータブルスキル」の代表例

・議論をまとめ、納得させるファシリテーションスキル
・相手の表情を読み、表情で語るスキル
・聞き手を惹き込むプレゼンテーションスキル
・わかりやすい文章、資料を作るスキル
・情報を整理し構造化するスキル

 

「心の持ちよう」の代表例

1 自分の心に素直に動く
「これはやったほうがいい」と思ったら、素直に行動に移すこと。「このスキルを勉強したほうがいいな」と思っても、「そんな時間はない」「若い人に交じって学ぶのは恥ずかしい」などと言い訳をして、結局やらずに終われば、自分を変えることはできない。

2 自分以外は全て『師』
「いつでも、誰からでも学ぶべきことはある」という謙虚な姿勢を持つこと。肩書きがある人ほど他人に上から目線で接しがちだが、そうしたおごりは捨てて、どんな相手と接する時も何かを学ぼうとする人ほど器が大きくなる。

3 執着ではなく執念
自分の立場や考えに執着する人は、反対意見を出されると、自分が否定されたように感じて相手を攻撃しようとする。だが、本当に大事なのは、何のために議論や話し合いをしているか。その目的を達成するためなら何でもするという執念が、個人的な執着を上回る人間であるべき。

4 理と情のバランス
相手に何かを理解してもらいたい時は、合理的な説明と情熱的な訴えのどちらも必要だが、順番としては先に“情”があり、その次に“理”があると考えるべき。いきなり理詰めで説得しようとするより、まずは信頼や好意などの感情を相手に持ってもらえるよう心がけたい。

5 レジリエンス
ボールがぎゅっと握りつぶされても、また元の形に戻るように、気持ちがへこんでも立ち直れるだけの“心の弾力性”を持ちたい。折れない心があれば、失敗から学んで次に生かすこともできるので、何歳からでも自分を成長させることができる。

 

《『THE21』2018年1月号より》

 

著者紹介

柴田励司(しばた・れいじ)

〔株〕Indigo Blue代表取締役会長

1962年、東京都生まれ。上智大学文学部英文学科卒業後、〔株〕京王プラザホテル入社。1995年、マーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング〔株〕(現・マーサージャパン〔株〕)入社。2000年。同社日本法人代表取締役社長に就任。2007年に退職したのち、〔株〕キャドセンター代表取締役社長、カルチュア・コンビニエンス・クラブ〔株〕代表取締役COOなどを歴任。2010年、〔株〕Indigo Blueを設立し、代表取締役社長に就任。著書に『遊んでいても結果を出す人、真面目にやっても結果の出ない人』(成美堂出版)など。

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