2017年08月03日 公開
2023年05月16日 更新
国境で、世知辛い洗礼を受けました。
どこからともなく人相の悪い連中が近寄ってきて、怒鳴るわ、窓を叩くわ、鬼気迫るわ。
それぞれが手を上げて、腕を振り、指を指し
「ストーーーップ!」
「いいから、ここに止まれ!」
「ここだって、ここーーーーーっ!」
「駐車場は、ここだって!」
「オフィスは向こうだから、こっち来い!」
「いいから、とにかく止まれって!」
「話、聞いてんのか?」
「英語か? フランス語か?」
「案内してやるからっ」
「俺について来い!」
「心配するなっ!」
「こっち来いって!」
「いい加減に、止まれっ!」
手続き代行、道案内、助言、その他なんであれ、およそお金になりそうにないことでもお金に変える、錬金術師たちです。
笑顔はゼロ。逆に愛想笑いを浮かべているのは、雰囲気に圧倒されたボクら。
彼らの営業は、説得でも提案でも懇願でもなく、単なる命令です。
ついうっかり「ウイ」なんて返事をしようものなら、そこで契約と上下関係が締結。彼らの不明瞭だが高飛車な命令に従わざるを得ず、払う必要のない意味不明な手数料が次々と加えられ、終いに後出しジャンケン的に高額な請求を突きつけられます。絶対。想像ですけど。
で、ボクら、伊達に世界一周に12年も費やしてないわけで、考えました。策はあります。
彼らの命令調営業トークを無視します。目を合わせません。完全無視。
彼らが右を指差せば左を向き、東へ歩けば西に行く逆張り戦法。
これは効きました。
みな、呆れて去って行ったのです。
彼らの残した苦笑いが、初めて見た西アフリカの笑顔。
ただ、この逆張り戦法だと一向にイミグレに近づけず、手続きできないというジレンマ。
ボクらも苦笑いです。
更新:11月23日 00:05