2017年06月27日 公開
2017年12月18日 更新
――最初から多くの医師がスムーズに協力してくれたのですか?
瀧口 そんなことはありません。私たちが営利企業であることもあり、会う前から、「あいつ、医者でもないくせに何を言っているんだ」という声は聞こえてきますし、これからもついて回るものだと思います。私はたしかに医師や看護師に比べて医療と向き合ってきた時間が短いですから、それもある程度、仕方のないことだと思っています。
――では、どのように理解を得てこられたのでしょうか。
瀧口 祖父がなくなったときに感じたモヤモヤは、言い換えれば「医療にとっての正解」と「個人にとっての正解」が必ずしも一致しないということでした。しかも、「どちらが正解」と決まっているわけでもない。このようなケースは今、選択肢の多様化と共に増加していると思います。家族を看取った経験のある方なら、誰もが感じたことがあるかもしれません。
この問題意識を医師に共有してみると、現場の医師も同じことを考えているということがわかりました。医師にしても、医療行為を受けるご本人やその家族には、「納得してほしい」のです。しかし、医療行為について、限られた時間の中で説明し、納得いく選択をしてもらうというのは、簡単なことではありません。そこで、メドレーと一緒に取り組むことで解決できるのなら、と理解してもらえるのです。
医師たちと話す中で、「本人が、家族が、納得できる医療」と「医療従事者が納得できる医療」は両立できるというたしかな手ごたえを感じました。
――御社には「代表取締役医師」の豊田剛一郎氏を含め、常勤医師が複数いらっしゃいますね。
瀧口 今、当社には8人の医師が常勤しています。8人の医師が常勤というのは、製薬会社でもなかなかないと思います。当社の代表取締役医師、豊田とは、小学校のときの塾友です。中学でも一緒でした。私が在学していたときは、特別親しいわけではありませんでしたが、起業して数年が経った頃にSNS上で豊田と再会しました。
私は患者さんを向いた、より医療に踏み込んだサービスを提供していくにあたり、医師のパートナーが必須だと考え、探し続けていました。たとえば医療メディアに何を載せる・載せないといった判断をするにあたり、非医療者の自分にはどうしても限界があります。豊田はその頃、脳神経外科医として働く中で感じた課題を解決すべく、コンサルティング会社に移り、ヘルスケア業界の戦略コンサルタントをしていたんです。私が医療消費者として感じた課題と、豊田が医師として感じた課題は大きく重なっており、豊田は2015年から当社に参画。「MEDLEY」他、医療分野のサービス立ち上げを担ってくれました。
――瀧口社長が掲げた「納得できる医療」というミッションが、医療消費者と医療従事者をつないだのですね。
瀧口 当社にいる医師・医療従事者はみんな、現場で患者と向き合う中で、地方医療の厳しさや国民保険の限界、そして現場スタッフの疲弊など、「現場にいては解決できない医療の課題」を抱えていました。私をはじめ、「医療消費者」である大勢のスタッフと、問題意識を持つ医師たちが協力することで、他にはないソリューションを提供できる企業でありたいし、そうあれるはずだと思っています。
更新:11月22日 00:05