2017年05月05日 公開
2017年08月10日 更新
木陰で休むムスリム。
時の過ぎゆくままにノマドって、12年。
軽自動車でアフリカに上陸して、5ヶ月。
そろそろ赤道の尻尾が見えてきそうなものですが、予定や計画はことごとく後ろに倒れてゆく、This is Africa.
どういうわけか、前に進まないのです。
暑い熱いアフリカにあって、義に厚い国があります。
GDPが120億ドルしかないのに、中国が提示した破格のオファー「500億ドルあげるから、台湾と絶交してくれない?」を断った国です。
貧するも銭を蹴り義を通したのは、台湾を承認する国のなかでもっとも人口の多い某国――。
人口が多いといっても、東京都に福岡県を足した数より少ないのですが、トルシエ元日本代表監督にサッカーを学び、トルシエを「白い魔術師」と言わしめた西アフリカの雄。
知る人ぞ知る、ブルキナファソです。
未だW杯の土を踏んでいないからか、トリビアの泉に浮かんでいそうな存在感のなさは、マイナー界きってのメジャーな存在です。
在ブルキナファソ日本国大使館によると、「ブルキナファソ」とは「高潔な人々の国」という意味で、「高潔な人々」は勤勉で優しい人柄を表すそうです。
一所懸命に働く心が清らかで優しい人たちとは、徹夜でボランティアに励む天使のようですが、けっこうな名前負け。
微妙なさじ加減のヒト、モノ、カネが、官民一体となって足に絡まる社会構造。役所から書類をもらうという簡単なコトですら、泥の中を歩くように遅々として前に進まず。
分け入っても分け入ってもゴールが見えない、魔界なのです。
宿のスタッフ。頼みもしないのにフランス語を教えてくれる働き者。
まず、インターネット。
遅すぎます。歩いた方が速いんじゃないかってくらい、超スローなブギです。
ホームページをひとつ開くだけで、マンゴーを2個食べられるくらいの長丁場。
手際よく仕事を片付けるために下調べしたいのに、永遠に仕事が始まりそうにないジレンマ。
急げば回れ、ネットは諦めました。
目指したのは、プリント屋。
停電……。
プリント屋に責任がないのは重々承知の助ですが、今日1日電気が来なくてもミジンコも驚きはしないという、その呑気な佇まい。イラっとします。
展望のない待ち時間に疲れ果て、急がば回れ、タクシーを飛ばして中心街へ。
たかが10円の印刷に300円ものタクシー代をかけたプリント屋のパソコンは、ほぼ骨董品。
SDカードを入れるとフリーズする、食い合わせの悪さです。
再起動にたっぷり5分、SDカードを咥えてはフリーズ。
このルーティンを繰り返して、お店を追い出されました。
3軒目は、またしても停電。
隣のブロックは天井扇が元気良く回っているのに、ここだけ停電という天中殺です。
新しいプリント屋を求めて、だだっ広いセントロをあてもなく歩くと、要所要所に軍による道路封鎖。
その都度、2ブロックも迂回させられ、無駄に体力を消耗する町づくり。
発電機を持つプリント屋を発見したときは、もうお昼。
午前中の成果は、プリント2枚だけ。
達成感のない疲労に、前頭葉が溶けそうです。
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更新:11月23日 00:05