2017年04月10日 公開
2023年07月12日 更新
現在、宮崎氏は日本刺繍作家として作品を作り続けるだけでなく、海外に日本の伝統芸能を発信する活動も行なっている。
「ネオ・ジャパニズムの活動のきっかけは、在宅介護十年の母の遺言でした。最期に『私に代わって、世に恩返しを』という言葉を受け、私にできることを考えたのです。
そこで、自分を育ててくれた日本刺繍を通じて恩返ししようと決めました。ただ、社会に広く還元できる活動を考えると、作家個人としての枠組みではなく、日本の伝統文化を世界に発信する活動をしようと思い至ったのです」
2005年の設立以来、宮崎氏はウイーン三回、ボストン、サンフランシスコ、リトアニア共和国、ハワイや韓国など、世界各国で展覧会を催し続けている。2年毎に海外の芸術家に審査してもらう特別展覧会を開催しているのだ。
「日本刺繍を始めて、多くの出合いにより人に助けられてきました。作家として活動を続けられるのも、人の縁に恵まれたからです。また、大勢の人と関わってきたことで成長できました。
ただそれは、日本刺繍で一本筋を通してきたからこそ。人間の関係は、一つの軸を起点に、大勢の人と関わっていくものです。そこでできた人々との縁をむげにせず、大切にしてみてはいかがでしょうか」
2017年5月号 一流の職人に学ぶ「仕事の流儀」
写真撮影 長谷川博一
更新:11月24日 00:05