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定年後の暮らしに必要なお金は?

2017年02月01日 公開
2023年05月16日 更新

和泉昭子(生活経済ジャーナリスト)/尾藤峰男(資産運用アドバイザー)

 

ゆとりある老後には5,000万円の備えが必要

 老後はゆとりある暮らしで長生きしたいと考えるなら、より多くの蓄えが必要になる。資産運用アドバイザーの尾藤峰男氏は、「一度しかない人生を豊かに、お金の心配なく過ごせるようにするには、老後資金は多いに越したことはありません。最低でも5,000万円、頑張って1億円を目標にしてみてはどうでしょうか」と話す。

 たとえば、こんな試算ができる。生命保険文化センターの意識調査によると、夫婦2人の老後生活には最低でも1カ月22万円、ゆとりある生活を送るには35万円が必要だという。夫婦が95歳まで生きるとして、65歳から20年間の生活費を毎月35万円、その後の10年間を22万円と見込む。さらに医療・介護に1,000万円、趣味に1,000万円、その他費用に1,000万円を計上すると、支出の合計は1億4,040万円となる。

 一方で収入は、65歳から年金を夫婦2人で毎年264万円、退職金を1,500万円受け取るとすると、合計で9,420万円。支出との差額である4,620万円が必要な老後資金となる。

 40代は教育費や住宅ローンなど出費がかさむ時期であり、「老後のことなど考えられない」という人も多いだろう。しかし、「子供がようやく独立した50代半ばになってから気づいても、遅いのです」と尾藤氏。

「50代の2人以上世帯の金融資産保有額の中央値は1,100万円ですが、これでは少なすぎます。教育や住まいにいくらでもお金をかければいいというものではなく、自分たちの老後も見据え、抑えるところは抑え、そのぶん老後の資産形成にまわしていくことが大切。5,000万円や1億円は途方もない目標に思えるかもしれませんが、40代から始めればそれほど難しいことではありません」(尾藤氏)

《取材・構成:前田はるみ》
《『THE21』2017年1月号より》

 

和泉昭子(いずみ・あきこ)
生活経済ジャーナリスト/ファイナンシャルプランナー
東京都生まれ。横浜国立大学教育学部卒業後、出版社・放送局を経てフリーのキャスターへ転身。1995年、CFP取得後、現職。現在は、各種メディアや講演などを通じマネーキャリアコミュニケーションに関する情報を発信。[株]プラチナ・コンシェルジュ取締役会長。

尾藤峰男(びとう・みねお)
資産運用アドバイザー
1954年、埼玉県生まれ。78年、早稲田大学法学部卒業後、日興証券[株](現・SMBC日興証券[株])にて投資アドバイスなどの業務に携わる。2000年、びとうファイナンシャルサービス[株]設立。ライフプランニング、個人の金融資産や退職金の資産運用アドバイスを行なう。

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