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良いものを知ってこそ、良い作品ができる 刀鍛冶 吉原義一

2017年01月10日 公開
2023年07月12日 更新

<連載>一流の職人に学ぶ「仕事の流儀」第2回

良い仕事は「速さ」から生まれる

義一氏が相槌を打ち(拍子を取り)、弟子たちが鍛えていく。

 

 職人というと、とことん時間をかけて作品の完成度を追求していくものと考えられがちだ。だが義一氏はそれを否定する。

「仕事に時間をかければ作品のクオリティが上がるわけではありません。日本刀の世界では、鍛錬に時間をかけるほど、鉄も炭も燃え尽きて減っていってしまう。早い仕事ほど、良い仕事と言えるでしょう」

 だが、「良い仕事」で満足してしまっては、「良い作品」にまで高めることはできないという。

「良い仕事は熟練度が高まれば自然とできるものですが、良い作品を作るにはセンスが必要です。だからこそ多くの日本刀を見ることも大事ですが、そのほかにもあらゆる分野に興味を持つことが大切。私もクルマやロードバイクなど、さまざまな趣味を楽しんでいます。

 作品には人間性が現われるので、さまざまな経験をするほど、仕事に深みが出てくるのです」

 良い仕事をするために、本業以外のことも大切にしていきたいものだ。

 

2017年2月号 一流の職人に学ぶ「仕事の流儀」

 

写真撮影 まるやゆういち

著者紹介

吉原義一(よしわらよしかず)

刀鍛冶

1967年、東京都生まれ。85年、父である義人のもとで修業を開始し、5年後に文化庁認定刀匠となる。その後、高松宮賞、文化庁長官賞など数々の特賞を総なめにし、36歳で審査なしで展覧会へ出品できる「無鑑査」に認定された。

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