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野口悠紀雄の「ブロックチェーン」講義 第1回「ブロックチェーンとは何なのか」

2017年01月05日 公開
2023年05月16日 更新

野口悠紀雄(経済学者)

「まがいもの」のブロックチェーンがある?

――なるほど。なんとか理解できたと思います。いま、ビットコインのP2Pにはどのくらいのコンピュータが参加しているのですか。

野口 世界中で7千から1万のコンピュータが参加していると言われています。ブロックチェーンの信頼性も、P2Pの過半数のコンピュータが結託してデータを書き換えた場合には保証できなくなります。これを「51%問題」といいます。そこで、結託できないように、十分に多いコンピュータが参加していることが望ましい。7千から1万という数は、十分に多いと考えられています。

――ブロックチェーンを使って事業を起こそうという企業は、そのくらいのコンピュータをまずは集める必要があるということですか。

野口 そこはとても重要なところです。先ほども三菱東京UFJ銀行の例を挙げましたが、ビットコインの成功を受け、最近では似たような仮想通貨がいくつも現れています。それらはいずれもビットコインと基本的に同じようなブロックチェーンを使って運営されています。

ところが、銀行が独自に進めている仮想通貨発行は、確かにブロックチェーンを使っているのですが、実はこれまで説明したブロックチェーンとは似て非なるものなのです。

――つまり、銀行が使っているブロックチェーンは「まがいもの」ということなのですか?
第2回につづく

(取材・構成:川端隆人、写真撮影:長谷川博一)

著者紹介

野口悠紀雄(のぐち・ゆきお)

早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問/一橋大学名誉教授

1940年、東京都生まれ。63年、東京大学工学部卒業。64年、大蔵省入省。72年、イェール大学Ph.D(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授などを経て、2011年より現職。著書に、『「超」整理法』(中公新書)、『「超」AI整理法』(KADOKAWA)など、ベストセラー多数。

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