2016年10月07日 公開
2022年10月27日 更新
ビジネス整理術の元祖とも言えるベストセラーかつロングセラー『「超」整理法』の著者・野口悠紀雄氏。独自の「押出しファイリング」は、「整理しない整理法」とも言える画期的な手法だった。それから二十年以上が過ぎた現在、野口氏の仕事は大半がデジタル化している。現在の情報整理術についてうかがった。《取材・構成=塚田有香、写真撮影=長谷川博一》
整理術の常識を覆す画期的な内容で大ベストセラーとなった『「超」整理法』から20年余り。クラウド時代の到来に合わせて新たに著した『超「超」整理法』からも8年が過ぎた。だが、野口悠紀雄氏の提言からこれだけの時間が経っても、書類やデータの整理に悪戦苦闘する人は後を絶たない。ITの進化により、情報量が飛躍的に増えた今だからこそ、改めて野口氏のメッセージに耳を傾けるべきときではないだろうか。
「多くの人は、『「超」整理法』を整理するための方法だと思っているようですが、それは誤解です。正しくは『整理しないで済ますための方法』なのです。
整理という作業が、何かを生み出すことはありません。ですから私は、整理することに労力と時間を費やすのは、できれば避けたいと考えています。ただ、整理しないと困ることはある。それは、場所がなくなることと、必要な情報をすぐに取り出せないことです。だからやむを得ず整理するのであって、できることならやらずに済ませたいというのが、「超」整理法の目的です。
そこで重要なのが、必要な情報をすぐに見出せる仕組みを作ること。目当ての情報がすぐ見つかるのであれば、わざわざ整理に時間や手間をかけることはありません。
その方法論の基本は、『分類しない』こと。つまり『分類するな』というのが、『「超」整理法』のメッセージなのです。
そもそも情報の分類には、いくつかの原理上の問題があります。文房具などのモノならば、『消しゴム』『クリップ』などと分類することができますが、情報でこれと同じことをしようとすると、必ず 『こうもり問題』
が発生します。たとえば、『土地』と『税』の項目を立てたとき、『土地課税』の書類はどちらに分類するのか、といったことです。巷の整理法の本を読むと、『コピーをとって両方に入れろ』と書いてある。そんな面倒なこと、やっていられますか(笑)。情報は分類できないのです」
更新:11月22日 00:05