2017年02月16日 公開
2023年05月16日 更新
「よし、勉強するぞ」と机に向かうも、つい他のことが気になってしまったり、メールや電話に邪魔されたりして、なかなか集中できないことがあるかもしれない。実は、現代人は集中して一つのことに取り組むのが総じて苦手になっているかもしれない、と話すのは精神科医の西多昌規氏。集中力を阻む要因とその対策についてうかがった。《取材・構成=川端隆人》
集中力がない。すぐ気が散ってしまう。飽きっぽい……といった悩みを持つ人はたくさんいます。私自身、飽きっぽいほうですし、人と会話しながらも他のことに気を取られたりしがちです。
ただ、集中力がないことは一概に悪いこととも言えません。それは言い方を変えれば、関心や注意力の幅が広いということ。技術進歩で情報量が増え、変化のスピードが上がっている時代ですから、幅広く注意を払う能力を上げなければ取り残される──とも言えるわけです。
とはいえ、時には集中して一つのことに打ち込まなくてはいけない場面もあるのが悩ましいところです。勉強をするときなどはまさにそうです。
では、どうしたら必要なときに集中力を発揮できるのでしょうか。
まず押さえておかなくてはいけないことは、どんなに集中力のある人でも、体調が悪かったり、睡眠不足だったり、悩みがあったりすれば集中できないということ。集中力はコンディションによるのです。一概に「1時間は集中できるようにならなければダメだ」などと考えるより、「今日の状態で、自分は何分くらい勉強に集中できるだろうか?」と見極める発想のほうがうまくいくでしょう。
そのうえで、具体的な集中の仕方としては、時間を区切ること。誰もが言うことですが、やはりこれは大事ですね。
何の予定もない休日に、「今日は1日勉強しよう」と決めて机に座ったけれど、時間はあるからと思ってダラダラとスマホを見たりしてしまう。気づいたら、夕方になっていた……そんな経験はありませんか? 時間が十分あって、終わりが決まっていないと「先延ばし」してしまって集中できないもの。「昼休みの30分で勉強する」というように、「締め切り」のある勉強するようにしましょう。期限が決まっているとノルアドレナリンという神経伝達物質が出て集中力が高まる「デッドライン効果」を利用するのです。
あまり時間がないほうが集中できるという意味では、後に出勤が控えている「朝活」もひとつの手です。ただ、一般的には若い世代ほど体内時計は男性が夜型、女性が朝型に設定されています。それが年をとともに逆転して、だいたい定年の頃になると男性のほうが朝型になるのです。
もちろん個人差はありますが、特に男性には夜型の人もかなりいるはず。そういう人が無理に朝活に挑戦すると、かえって効率が上がらないこともあるので注意しましょう。
更新:12月02日 00:05