2016年02月12日 公開
2016年02月16日 更新
シリアルでおなじみの日本ケロッグで執行役員兼マーケティング本部長を務める大谷弘子氏は、イギリス留学でMBAを取得し、海外勤務経験も持つなど、グローバルに活躍している。しかし、帰国子女でもなく、英語を本格的に学び始めたのは社会人になってからだ。どのような方法で続けてきたのだろうか?《取材・構成=塚田有香、写真撮影=まるやゆういち》
シリアルなどの輸入・製造販売を手がける日本ケロッグ。マーケティング本部長の大谷弘子氏は、日本国内のマーケティングだけでなく、アジア・パシフィックの各国と連携したプロジェクトにも携わる人物。前職では海外赴任の経験も持つ国際経験豊富なリーダーだ。
「私が英語学習を本格的に始めたのは、社会人になってからです。学生時代は留学経験もなければ、日常で英語を使う機会もまったくありませんでした。
ただ、子供の頃から海外への憧れはずっと抱いていました。とくに、『兼高かおる世界の旅』という紀行番組が大好きで、『自分もいつか海外とつながる仕事がしたい』と漠然と考えていたのです。自分も社会人になり、その思いが蘇ってきたことが、英語学習を始めるきっかけでした」
そこで社会人二年目の時、当時勤務していた会社が提供する英語学習プログラムに参加。希望者が試験を受け、合格した人は会社が授業料を出して英会話学校に通わせてくれるというもので、大谷氏も一員に選ばれた。
「朝7時半から8時10分までの40分コースで、出社前に週に3回から4回通いました。アメリカ人のネイティブ講師がビジネス英語を教えるコースで、5~6人で受講するグループレッスン。これを1年間続けました。
ただ、英語を習得するにはそれだけでは足りないと考え、当時放送されていたNHKラジオ講座『やさしいビジネス英語』も聞き始めました。夜十時台の放送を聞き、さらに放送の録音テープも購入して、通勤の行き帰りにウォークマンで聞いて、お手本と同じスピードで口に出す。
もちろん最初はついていけませんが、その月の放送分を何度も繰り返し話しているうちに、約一カ月後には大体同じスピードで話せるようになりました。電車内でも、道を歩いている時でもやっていたので、周囲からは何かブツブツ言っている変な人と思われていたかもしれません(笑)」
早起きして英会話学校へ通い、すき間時間も地道に学習を続けるには、高いモチベーションがなければ難しいはず。だが大谷氏は「この時点では全然英語が楽しくなかった」と明かす。
「とにかく最初は、人が言うことを聞き取れないし、自分が言いたいことも口から出ない。それがものすごくストレスでした。途中で『私は英語の才能がないから、もうやめようかな』と思ったこともあります。
それでも続けていたら、3年ほど経ったある日、突然英語が聞き取れるようになったのです。自宅でCNNのニュースを流していたのですが、ふいに『あれ? 意味がわかる!』という瞬間が訪れて、自分でもびっくり。それからは英語が楽しくなりました。
楽しくなかった時期も挫折しなかったのは、やはり『海外へ行く夢を諦めたくない』という一心。英語学習が続かない人は、『昇進に必要だから』『会社にTOEICを受けろと言われたから』といった事情で、仕方なく勉強しているケースが多いのではないでしょうか。それではやる気を出すのも難しいでしょう。
私の場合は、海外への憧れがモチベーションだったので、英語を勉強するのはあくまで自分のため。会社のためでも、他人と勝ち負けを競うためでもありません。誰かに強制されたことはなく、ただ自分がやりたいことのために英語を続けてきた。それが良かったのでしょう。
皆さんも、たとえ英語学習のきっかけは会社からの指示だったとしても、『せっかく英語を学習するのだから、その英語力を使って自分は何をしたいか』を改めて考えてみることをお勧めします。
『自分は英語を使ってこれがやりたい』というものがあれば、勉強することが次第に楽しくなるはずです」
更新:11月22日 00:05